原子力開発ロードマップを承認 ポーランド 2020年の初号機運開目指す

ポーランドの閣僚会議は11日、同国における原子力発電開発ロードマップを承認し、2020年末から21年初頭にも同国初の原子力発電所の運転開始を目指す方針を明らかにした。

ポーランドは80年代に原子力発電所の建設を開始していたが、チェルノブイリ事故を契機に1990年、「原子力発電所を2010年まで導入しない」ことを決定。建設中だったザルノビエツ発電所は解体されている。

しかし、近隣のバルト三国と同様、同国は石油・ガスなどロシアへのエネルギー依存を少しでも軽減することを切望しており、2006年にバルト三国の原子力発電所共同建設計画に関心を表明した。その後、出資比率と完成後の電力配分で参加国間の調整が行き詰まり、ポーランド政府は今年1月、同国で独自に原子力発電所を建設するための作業開始計画を公表。国家のエネルギー供給保証を確保し、経済開発を促進するために原子力発電を導入すること、2020年までに少なくとも1サイトでの運転開始を含め、開発基数や規模、立地候補地などに関する案文を政府の全権委員が作成し閣議に提出すること、国営のポーランド・エネルギー・グループSA(PGE)が同計画の策定と実施に協力し、発電所の建設に関する責任を負うことなどを決定した。

これに続き、政府は3月に経済省内に原子力計画専門の局を設置、5月には経済省が1月の政府決定を反映させて「2030年までのエネルギー政策」の最終案文を作成した。また、首相が経済省のH.トロヤノウスカ次官を同国の原子力発電計画に関する全権委員に任命するなど、着々と準備を進めている。

今回公開された原子力発電開発ロードマップは、エネルギー政策の最終案文に基づいて同次官と経済省がまとめた。2020年までの期間を四段階に分け、それぞれの段階で政府および投資企業が実施すべき行動項目が設定されている。

第1段階(2010年末まで)――政府は原子炉の建設、運転、賠償などに係る法整備を進めるとともに、低・中レベル廃棄物埋設処分地の検討、使用済み燃料と放射性廃棄物の管理計画策定、国内のウラン資源探査、国家原子力庁(PAA)の機能整備、「ポーランド原子力発電計画」の作成と採択−−などを実行する。

この間、PGEは原子力発電所の最良の建設・管理方法を検討し、実際の建設作業にあたる企業連合設立のため、原子力関係企業を選定する。

第2段階(11年初頭から13年末)――政府は第1段階での廃棄物処分場の検討やPAAの整備、ウラン資源探査を継続。一方、PGEは初号機の実行可能性調査を行うとともに、建設サイトを最終決定する。また、環境影響評価、建設財源の確保を進めつつ、初号機の設計と供給業者を選定し、契約を締結する。

第3段階(14年初頭から15年末)――政府は低・中レベル廃棄物処分場の建設を開始。PGEは初号機の詳細設計を実施し、必要な許認可すべてを取得する。

第4段階(16年初頭から20年末)――廃棄物処分場の建設を継続するほか、初号機の建設を開始。2020年までの運開を目指す。


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