原子力機構等 超遠心機ロータ開発 同位体分離に威力

原子力機構と丸和電機(本社・千葉県柏市、=柴ア司郎・代表取締役、資本金・2400万円)は8月27日、超遠心機ロータを世界で初めて開発した、と発表した。

同ロータは外形8cm、超重力場を用いて固体や液体の状態にある物質中の同位体を分離する方法を実現するためのカギとなる。最大重力場(遠心加速度場)40万G、最高ロータ温度400度Cまでの条件で、高速回転中に外部から試料を供給し続けながら内部の2つの沈降漕に重い同位体と軽い同位体を分配できる。

この方法は、病気の診断・治療用の放射性医薬品を製造する際に必要となる同位体分離工程に利用できる見込み。一例として、原子炉でのモリブデン99の製造に適用できる可能性が開けてくる。モリブデン99は、がん、心筋梗塞、脳卒中などの画像診断に欠かせない放射性同位体テクネチウム99mの親核種。海外輸入に依存しているが、たび重なる原子炉の停止により、医療現場への安定供給が望まれている。

近年、原子力機構と真下茂・熊本大学衝撃・極限環境研究センター教授らの共同研究で、超重力場での固体および液体の沈降研究が確認されており、同機構は熊本大と同位体沈降機構解明をめざし、丸和電気と技術開発チームを形成し同ロータ開発に取り組んでいた。


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