仏アレバ社の09年上半期決算 フィンランドEPR建設 営業利益に影響

仏アレバ社は8月31日、2009年上半期(6月30日まで)の決算報告書を公表し、受注残高、売上高ともに前年同期を上回る一方、フィンランドのオルキルオト3号機(OL3)建設計画の遅延が影響し、営業利益は約5億ユーロ減の1600万ユーロにとどまったことを明らかにした。

報告書によると、上半期末の受注残高は488億7600万ユーロで、前年同期比28%増。燃料サイクル事業のフロントエンド部門で42%、バックエンド部門で31%増加したのが受注残高を押し上げたと説明している。売上高は65億2200万ユーロで、前年同期比約6%増だった。この期間の実績としてアレバ社は、インドとの覚書締結により、2〜6基の欧州加圧水型炉(EPR)や燃料サイクル・サービスを同国に提案したこと、米国のデューク社にはEPRを1基、英国に対しては仏電力との協力でEPR4基の供給で交渉を展開したとしている。

最終的に1600万ユーロとなった営業利益については、OL3建設計画の遅延により生じる損失を補うため、5億5000万ユーロの追加引当金(※貸倒損失に備え利益の中から積み立てておく額)を差し引いたのが大きく影響したと指摘。減額前は5億6600万ユーロ(34.2%減)であった点を強調している。

同建設計画後について同社は「今後は最終ステップとして配管の設置や各種試験、および起動に係る作業に集中することになる」と説明した。しかし、顧客のティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は、締め切り期間が2か月の規制文書の処理に11か月をかけるなど契約上の義務を果たさず、作業を加速させるために昨年6月に両社が合意した対策を未だに実行していないと同社は指摘。さらに、TVOの要求により実施させられた追加の改造作業は契約の必須修正条項でカバーされておらず、計画のさらなる遅延と追加コストの原因になった。アレバ社の見積もりでは、30億ユーロで請け負った同機の完成時の損失総額は23億ユーロに達すると見られている。

今後についてアレバ社は、大型建設計画の慣行に従って作業できるよう、契約に追加改造作業のための修正条項を盛り込む提案書をTVOに送付。上半期決算ではこのために追加引当金を計上したが、TVOが同提案書に同意し次第、最終段階の作業を実施するとの考えを明らかにした。

なお、このほか同社は、アレバNP社での合弁関係を打ち切った独シーメンス社について、新たに長期的な提携契約を締結したと明記。原子炉の計装制御系分野では協力関係の維持が保証されることになったとしている。


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