08年度の電力CO排出原単位 前年度比17.7%減に

電気事業連合会は11日、08年度の排出原単位実績が対前年度比17.7%減の0.373kg―CO/kWhだったと発表した。排出原単位は、使用電力量当たりのCO排出量を示す電力業界の排出量指標で、電事連では、これに基づき毎年、フォローアップを行っている。対90年度比では10.6%減。

排出原単位が減少した主な理由としては、震災に伴う東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の全基停止の影響により、原子力の設備利用率が停滞したものの、景気後退による電力需要の減少と、電力業界全体で約6400万トン―COの京都メカニズムクレジットの反映が数値を引き下げたとしている。このクレジット利用でほぼ、柏崎刈羽の停止に伴う排出量増をカバーする格好となっており、ちなみに、クレジット反映前の排出原単位は、0.444kg―CO/kWhとなる。

電事連では、08〜12年度の使用端CO排出原単位を90年度実績から平均20%減の0.34kg―CO/kWh程度とする目標を設定しており、供給側の取組として、原子力発電の推進、再生可能エネルギーの開発・普及、火力発電熱効率の向上、送配電ロスの低減、京都メカニズム等の活用などを掲げている。排出原単位は、原子力発電の設備利用率が高かった98年度に、対90年度比15.1%減の0.354kg―CO/kWhまで下がったが、電力需要増、原子力発電の利用率低下などから02年度以降、0.4kg―CO/kWhを上回ってきた。

今後の見通しについては現時点、柏崎刈羽発電所の運転計画が読めないことから、5年間の平均値が算定できない状況となっている。

しかしながら、電事連では、安全確保を大前提とした原子力発電の推進、火力発電の熱効率向上などに加え、クレジット獲得についても、電力業界全体で12年までに、約2.5億トン―COを見込み、目標達成に向け活用していくこととしている。

なお、民主党の鳩山代表が表明した「20年までに温室効果ガス90年比25%減」に関して、森詳介・電事連会長は11日の定例会見で、「地球温暖化防止は世界全体で取り組む課題」とした上で、実現可能性、国民生活や経済への影響などを検証し、国民の理解を得る必要があると述べた。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで