【クローズアップ】福井県高浜町長 野瀬 豊氏に聞く 「選ばれる町」になるための取組み 「高浜はまっ白です……」 『心のありよう』 宣言に盛込む

若狭地方の「でんきのふるさと」福井県高浜町を訪問し、原子力発電所が立地する町として風評被害をなくし、「働きたい町、暮らしたい町、訪れたい町」を目標に町づくりに取組み、「全国初―地域医療に関する寄付講座の開設」や「高浜白宣言」を行っている野瀬豊町長に話を聞いた。(原産協会政策推進部・坂上千春)

青く輝く遠浅の海、白く広い砂浜の美しさが魅力の福井県高浜町は、総人口 約1万1500人、世帯数約4200世帯。1960年、奈良の平城宮跡から出土した荷札木簡に「若狭國遠敷郡青里御贄多比鮓壹かく」と記されたものがあることから、「すし発祥の地」とも言われる。

内浦半島に位置する高浜原子力発電所は、74年11月に1号機が営業運転を開始、現在では4基の原子炉を持ち、関西電力で発電する電力の約20%を占める。

「高浜町の魅力を高め『選ばれる町』に変えていく」とは、野瀬町長が掲げるマニフェスト。

野瀬町長は――、

10年ほど前から全国の「社会保険病院」の廃止については、さまざまな問題とともに検討されてきたが、町内にある「高浜病院」についても同様で、病院の存続=医療現場の確保が危ぶまれてきた。病院に買い手がつかなければ、人材(医師)が流出し、医療崩壊につながる。「暮らしたい町づくり」のため、05年に「医療特別委員会」を立上げ、問題解決に向け動き出した。委員長は福井大学救急総合診療部の寺澤秀一教授。医師たちが「あそこに行ったらおもしろい」と思える魅力ある病院づくりを考えた。今までとは逆転の発想。お金を出して医師にきてもらうのではなく、医師自らが「行きたい」と思う、特に若い研修医が求める「学び」の仕組みを考えた。「地域のニーズにあったプライマリケアプログラムの研究」や「医師不足地域における効果的な医療支援システムの研究」などをテーマとし、「医療、福祉、保険」が一緒に学べる場として大変好評を博している――と熱く語る。

この寄付講座は全国初の試みということで医療関係、医療現場からの問い合わせ、取材が多く、全国的にネットワークができつつあるという。

また、野瀬町長が発案した「高浜白宣言」は、「高浜の良さを改めて考えてみる。そして磨きをかける行動を起こす」ためのスローガン。「具体的な事業計画ではなく、今後、進めていく新たな計画を考えていく上での『心のありよう』『物事の捉え方』」だという。

売れっ子コピーライターが作成した「高浜白宣言」宣言文は新しい高浜をイメージして作られ、“高浜はまっ白です ・・・ から始まり、日本のエネルギーを支える原子力発電所があること、高浜は美しいエコロジーな町へ”という一文につながる。

宣伝広報には全国で活躍する若手気鋭の建築家、アートディレクターが参画し、こちらもこれまでにない町づくりのアプローチとして注目を集めつつある。


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