OECD/NEA 多国間設計評価で国際会議

経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)は、同機関が事務局を務めている多国間設計評価プログラム(MDEP)のこれまでの活動と実績について、原子力産業界の関係者や実際の活動に加わっていない国の規制当局者などにも広く周知するための国際会議を9月10日と11日の2日間、パリで開催した。

MDEPの目的は、第3〜第4世代の新しい原子炉設計について安全審査を効果的かつ効率的に進めるため、安全解析コードや基準、安全目標などに関する各国規制当局のリソースや知見が有効活用できるような革新的手法の開発に多国間で取り組むこと。05年に米原子力規制委員会の当時の委員長(NRC)がMDEPの前身となる設計承認プログラム(MDAP)を提案し、06年9月にプログラムとしての付託条件が承認された。

日本からは原子力安全・保安院が、規格基準や安全目標の共通化に取り組む第2ステージの準備会合から参加。現在はNEAと国際原子力機関のほか、日本を含めた米、英、仏、韓、露、加、中、フィンランド、南アの10か国が参加している。

同プログラムの構成は、発足当初は計画全体のマネジメントを担当する政策グループ(PG)の下に運営技術委員会(STC)と機器製造施設監督作業委員会(WGCMO)が設置された。STCはまず、プログラムの実現性を評価するため、06年秋から「パイロット計画」を開始。(1)ECCS(2)シビアアクシデント(3)デジタルI&C――について、規制要求や実務が共通する分野と相違する分野など、各国の規制活動について1年間にわたって調査した。同計画は07末に完了し、08年3月には今後の活動の形態や項目を明記した「勧告と評価」が報告書にまとめられている。

現在のMDEPでは、同報告書に従って「MDEPライブラリー」が設置されたほか、STCの下部組織として、原子炉設計ごとに特化した作業グループ(現段階ではEPRとAP1000のみ)と、個別の課題ごとに3つの作業グループ((1)デジタルI&C(2)コードおよび基準(3)ベンダーの検査)が08年4月から活動。今年の6月にはこれらの作業グループによる1年間の活動内容を初めて、年次報告書として作成した。

この中でPGのA.ラコステ議長は、MDEPとしてのこの最初の1年で、基準となる規制慣行や要求項目の統合を価値の高い、達成可能な目標だとするパイロット計画の結論が確認されたと評価。この目標達成のために、PGではMDEPを長期的なプログラムとして少なくとも5年、活動継続させることを決定したとしている。

今回パリで開催された国際会議では、23か国・10国際機関から170名以上が出席した。事務局であるNEAは同会議により、MDEP参加国は非参加国の規制当局者のみならず、原子力産業界および基準開発機関の代表者らと正式に意見交換するための貴重な機会が得られたと強調。すべての出席者にMDEPの活動と実績の概要を説明するとともに、原子炉設計の標準化や規制要求項目の調整で世界がどのように協力していくべきか勧告する機会になったとしている。

日本からは原子力安全・保安院の中村幸一郎首席統括安全審査官が出席したほか、産業界から三菱重工業やGE日立、日本製鋼所、電気事業連合会、および原産協会の代表者などが発表者として登壇した。


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