国連安保理で核廃絶へ決議 「平和利用の権利」も確認

国連安全保障理事会は9月24日、核軍縮と不拡散(NPT)に関する首脳級会合で、米国の提案した「核兵器のない世界」の実現を目指す取組みについての決議案を全会一致で採択した。

この構想は、今年4月に米国のB.オバマ大統領がチェコのプラハを訪れた際、提唱していたもので、9月の安保理議長国である米国は、核の危険軽減を目標とした行動の幅広い枠組みとなる決議の採択に向けて準備を進めていた。核関連の全分野――核軍縮、不拡散、原子力の平和利用、核セキュリティ――を包括的にカバーしており、NPTの目標に沿って、すべての国にとって一層安全な世界を追求し、「核兵器のない世界」に向けた条件の構築を決意する内容になっている。

NPTが安保理首脳会合のテーマとして取り上げられたのは今回が始めてのこと。決議ではその重要性を再確認するとともに、2010年運用検討会議でNPTを成功裏に強化し核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用について現実的かつ達成可能な目標を設定するための協力を呼びかけた。具体的には、核実験の実施を控え、包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名・批准するようすべての国に求め、NPT非締約国には非核兵器国としての加入を要請している。

原子力の平和利用に関しては、拡散のリスクを低減し、保障措置・核セキュリティ・原子力安全の各項目について最高レベルの基準を遵守しつつ推進することを奨励。平和利用する「奪い得ない権利」を確認した。この中では特に、核燃料の供給を含めた燃料サイクルに関する多国間の取組みにおける国際原子力機関(IAEA)の役割を評価。今後の保障措置のさらなる強化のために国連加盟国がIAEAに必要な協力を提供していくことを強調するとともに、核物質や機器の輸出についても、保障措置協定の遵守を必須条件として義務付けるよう促している。

同決議を採択した首脳級会合で議長を務めた米国のB.オバマ大統領は、演説の中で同決議を「歴史的」と形容。核兵器のない世界の実現に向けた各国の誓約の共有が明記され、核の危険を軽減する行動の枠組みがもたらされたと指摘した。また、すべての国々が原子力を平和利用する権利を有するとの合意が形作られた一方で、核保有国は軍縮に向けて行動していく責任があると強調した。

イランと北朝鮮に対しては特に、安保理のすべての決定を無視し、安全保障上の基盤となる規則を弱体化させているとして名指しで非難したほか、国際法が単なる口約束ではないことを実証するために世界が結束していくよう訴えている。

同大統領はまた、同決議によって安保理は、盗取され易いすべての核物質を4年以内に盗難不可能な状態に置くという地球規模の努力を保証することになったと明言。この目的のためのサミット開催を来年、米国が計画していると述べた。さらに同決議では、核拡散に利用されている金融資産の凍結を各国に要請しているほか、平和利用計画の兵器計画への転用防止のため、保障措置の強化を訴えたとしている。


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