【シリーズ】原子力発電「― コア技術・関連産業編(総論)」

民主党・鳩山政権発足から3週間、国連気候変動サミットの開会式で2020年の日本の温室効果ガス削減目標を「90年比25%」とすることを宣言、地球環境問題で日本がイニシアチブを執る決意をアピール、世界から賞賛を浴びた。今年末に「ポスト京都」の枠組みを決めるCOP15開催に向け、25%削減のどれだけを国内削減分とするのかなど、日本の具体策に注目が集まる。

いずれにしても、削減率のハードルを高めるほど20年というレンジで見ると原子力発電が現実的な主役にならざるを得ず、鳩山内閣が政治主導で原子力とどう向き合い・位置づけ、国民の理解を求めていくのか、民主党政権にとっても大きな試金石となりそうだ。

一方、9月末にはドイツの総選挙で保守と左派の大連立政権から、11年ぶりに保守・中道連立政権へ移行、「脱原発」から転換する見通しとなった。米欧での「原子力ルネサンス」が加速、また、途上国での原子力導入・大幅拡大が進展する中、主要8か国(G8)で唯一反・脱原子力路線を貫いてきたドイツの政策変更は、今後の温暖化対策をめぐる国際議論に多大の影響を与えることになろう。

こうした諸状況の下に、原子力を主軸とする「低炭素革命」が行動の時代を迎え、いよいよ日本のプラントメーカーが主契約者となって海外での原子力発電所一括建設に着手する時が迫っている。わが国が原子力で、安全技術、核不拡散問題への対応を含めいかに国際貢献できるかは、国益にも直結する国家安全保障戦略の一端だ。そして、その原子力の産業基盤強化と国際展開のカギを握る要因のひとつに、原子力産業の裾野を支えるサプライ企業群がある。

資源エネルギー庁もこうした視点に立ち、8月からサプライヤーの政策支援制度を創設、戦略的原子力技術利用高度化対象企業として、日本製鋼所、岡野バルブ製造、荏原製作所、IHI、神戸製鋼所の5社を選定した。原産新聞では今年1〜3月に原子力発電「支えの主役」シリーズを掲載したが、この機会に、同シリーズの続編として「コア技術・関連産業編」で個別企業を訪問取材、レポートする。


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