P5+独とイランの協議 濃縮工場の査察で合意

米ホワイトハウスは1日、ジュネーブで開催された国連安保理常任理事国(P5)およびドイツの6か国とイランとの協議について概要を公表し、存在が明らかになったイランの第2ウラン濃縮工場を国際原子力機関(IAEA)が査察することで合意に達したこと、この件でM.エルバラダイ事務局長がイランに赴いて詳細を詰めることになったことを明らかにした。

発表文によると、イランではテヘランにある研究炉でIAEAの厳格な保障措置の下、数十年にわたり医療用アイソトープを生産してきた。しかし、90年代初頭に同機用にアルゼンチン政府から供給された19.75%の濃縮ウランが来年にも底をつくことから、イランは数か月前に、IAEAに対して燃料の補給を要請していたという。

米国を始めとする主要加盟国間で様々な議論を重ねた末、米露はIAEAの提案に賛同。すなわち、イランは基本的に在庫の低濃縮ウラン(濃縮度3.5%)を補給燃料として使用するが、ロシアがこれを19.75%まで濃縮し、フランスが研究炉用の燃料集合体に加工製造するという計画だ。これが実現すれば、中東その他の地域が懸念しているイランのウラン在庫量を大幅に削減できるとP5諸国らは考えている。イランはジュネーブでの協議でこの提案を原則的に受入れ、10月18日にウィーンでIAEAと詳細を詰めることになった。

なお、IAEAのエルバラダイ事務局長は4日にテヘラン入りし、イラン原子力庁(AEOI)のA.サレヒ長官らと協議。同長官との共同記者会見で、「IAEAは10月25日にイランの新たな濃縮施設で査察を実施する」と発表している。


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