エネ研情報交換会 インド情勢報告 エネ増大で原子力拡大

日本エネルギー経済研究所はこのほど情報交換会を開き、インドのエネルギー情勢と新エネおよび省エネ政策の動向について、報告を行った。

インドでは活発な経済成長・人口増によって、エネルギー需要の大幅増加が見込まれる。2006年から2030年間の一次エネルギー消費増は714Mtoeと中国に次いで大きい伸びが見込まれ、2030年には世界全体のエネルギー消費量の8%を占める。現在米国、欧州、中国に次ぐエネルギー消費大国の日本を超え、インドが世界4位になることが予想される。

一方でエネルギー供給が需要に追いつかず、特に年6.4%増の電力部門で利用効率改善や公害・地球環境問題の解決が大きな課題である。インドの部門別CO排出量では、発電・熱生産が年間約7億トンと、他の分野を圧倒して多くなっている。

エネルギー輸入コストはGDPの6.6%に達しており、輸入依存度の上昇はインド経済・国民への負担増となっている。以前から増大している石油・石炭の輸入に加え、2003年からは天然ガスでも純輸入国に転じた。

電力供給の拡大と非化石電源の推進のため、インドは大規模に原子力発電を導入する計画。原子力発電設備は今年1月現在、運転中が412万kW、建設中が316万kW、計画中680万kW だが、2030年までに原子力発電設備を6300万kW とする方針が打ち出された。

IEAは2030年に1800万kWと予測している。このような原子力導入拡大によって、電力の需給ギャップを2050年までに解消する方針だが、各国はこれをビジネスチャンスと見ている。

インドは核不拡散条約(NPT)に加盟しておらず、また1970年代と1990年代の核実験のため、国際社会から原子力協力が得られなかった。しかし米印原子力協力協定の締結により、海外からの協力を得られるようになり、世界の原子力産業界の関心を集めている。

インドのエネルギー問題の解決は、ひいては国際エネルギー市場の安定と地球温暖化の抑制につながる。原子力発電や新エネルギーの導入拡大、省エネの推進等への取り組み強化が不可欠である。

我が国は原子力発電や新エネ、省エネの各分野で世界最高水準の技術を持っており、これらの分野での協力を通じて、インドのエネルギー・環境問題解決に貢献することが出来る。我が国として前向きにとらえ、取り組むべきだと結んでいる。


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