玄海3号、MOX燃料装荷 国内初の本格プルサーマル発電開始へ 11月上旬、調整運転開始予定 九州電、計画表明から5年半

九州電力は18日、定期検査中の玄海原子力発電所3号機(PWR、118万kW)へのMOX燃料装荷を完了した(=写真、九州電力提供)。8月30日から実施中の定検に際し、今月15日より作業を行っていたもの。同機は、来月上旬より調整運転に入る見込みで、これにより、国内での本格的なプルサーマル発電がいよいよスタートすることとなる。

同社は、04年4月、玄海3号機でのプルサーマル実施を決定、翌5月にはMOX燃料使用に関する国への原子炉設置変更許可申請と、安全協定に基づく佐賀県、玄海町への事前了解願いを提出した。以降、05年9月には国の許可、06年3月には自治体からの事前了解を得て、同9月に三菱重工とMOX燃料供給契約を締結、燃料の製造はフランス・メロックス工場が行った。プルサーマル実施に向けた手続きとしては、同じPWRでは、98年に国の許可を得た関西電力高浜発電所の方が当初、先陣を切っていたが、燃料データ不正問題、美浜3事故対策により近年、玄海3などの他機計画が先行してきた。

今回の燃料装荷は、燃料集合体193体中、取替となる計80体の新燃料のうち、MOX燃料を16体装荷するもので、当初、今月3日に作業を開始する予定としていたが、佐賀県からの申し入れを受け、延期となり、15〜18日に実施された。国への許可申請上は、MOX燃料の装荷は最大で48体となっている。

フランス製造のこれらMOX燃料16体は去る5月下旬、航路にて玄海発電所に輸送・搬入されたのだが、同便にて、中部電力浜岡発電所、四国電力伊方発電所にも、BWR燃料28体、PWR21体がそれぞれ輸送されており、両機とも来年度までには、定検時の燃料装荷を経て、プルサーマル発電を開始する見込みだ。

今回のMOX燃料装荷を受け、森詳介・電気事業連合会会長は16日の定例会見で、「プルサーマルの実現は私どもにとって長年の悲願であり、原子燃料サイクルの確立に向けて極めて大きな前進」と述べたほか、6月に決議した「15年度までに全国で16〜18基の原子炉でプルサーマル」が実現するよう、業界を挙げて取り組む姿勢を新たにした。


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