英デコミ機構 MOX製造工場で 既存契約遂行のため 操業の継続決定

英国の原子力デコミッショニング機構(NDA)は10月27日、稼働率の低いセラフィールドMOX燃料工場(SMP)の処遇についてレビューした結果、現段階では既存の燃料製造契約を完了するために操業を継続するとの判断を下した。

SMPは2002年に操業を開始。今年は欧州から請け負った既契約のMOX燃料集合体を製造しているが、エンジニアリングおよび技術上の問題により、設計上の生産能力である年間120トン(重金属換算)を達成したことはない。

NDAは昨年11月、AMEC社や仏アレバ社が設立した企業連合のニュークリア・マネージメント・パートナーズ(NMP)社をセラフィールド許認可会社(SLC)の親会社組織に選定し、SMPの管理業務を譲渡。NMPとともにSMPの操業で被った多額の損失の処理についてレビューするとともに、これまでの実績や潜在的な能力、顧客との関連について考慮しつつ、納税者に取って最も価値のある利用オプションを検討していた。

今回、NDAはSMPの操業実績改善の方法を模索しつつ現在の燃料製造を継続するよう、セラフィールド社に通達。これと並行して、NDAの営利子会社である国際原子力サービス社が、SMPの継続操業が長期的に見て経済的に許容可能になるよう、新たな商業活動の道を探るとしている。

なお、NDAは今年1月、英国内に貯蔵されているプルトニウムの管理戦略に関する調査報告書をエネルギー・気候変動省(DECC)に提出した。この中の「処分オプション」の1つとしてNDAは、核拡散リスク軽減の観点から改造したSMPでプルトニウム含有量12%程度の低スペックMOXペレットを製造、固定化処分する案を提示。このため、SMPが今後、このオプションに利用される可能性も考えられる。

同報告書ではこのほか、プルトニウムの管理オプションとして、2120年まで長期貯蔵する案や、CANDU炉や軽水炉用の燃料に再利用する案、ガラスやセメントによる固化処分案、あるいは新たなMOX燃料工場を建設して低スペックMOX燃料を製造する案などが提示されている。


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