米国 燃料問題でイランの早期回答要求

米国のH.クリントン国務長官は10月31日、訪問中だったイスラエルでの同国首相との懇談の場で、イランが国際原子力機関(IAEA)による提案への正式回答を引き延ばしているとして不快感を表明し、早期の回答を要求した。

イラン保有の低濃縮ウランを仏露などの国外で19.75%に濃縮、燃料棒に加工し、イランの研究炉用に返還するというIAEA案について、イランは10月19日に米露および仏の代表とウィーンで協議。IAEAのM.エルバラダイ事務局長は「テヘランにある研究炉は医療用同位体の生産など純粋に人道的な目的のために使われており、継続して運転できるよう燃料の供給が必要だ」と指摘。23日には米露仏がIAEA案に合意し、イラン側の回答を待った。IAEAは19日、「イランから初期の回答を得た」と発表したものの、詳細に関する言及を避けており、イラン側からウランの分割移送などの逆提案があったものと見られている。このような状況から、米国はIAEA提案が実質的に核兵器開発防止の目的を果たせないよう修正されてしまうことを懸念。イランの目的が兵器開発にあるとの疑惑を高めている。

クリントン米国務長官は、イラン側から最終的な決定が戻ってこない点について、「重要なことは米、英、仏、独、ロ、中、および欧州連合が力を結集して対処すること。イランが核兵器製造能力を持ったり、また、持とうとすべきでないという見解で世界は一致している」と断言。ウランの国外移送という建設的な結果のために世界は努力を惜しまないとする一方、「我々とて永遠には待てないし、我慢にも限界がある」と述べ、イランが国際社会に対する責任と義務を履行するよう強く求めた。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで