行政刷新会議「事業仕分け」前半終了 予算にメス 「もんじゅ」再開可、FBR開発は見直し 推進体制の組替え視野 研究と産業化の事業統合論も

政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の下に設置された3つのワーキンググループ(WG)は11日から17日までの5日間、東京・市ヶ谷の国立印刷局体育館で、来年度予算の各府省概算要求額を削減する「事業仕分け」作業(前半日程)を精力的に実施した。その中で、事業仕分けの統括役を務めた枝野幸男・民主党衆議院議員は、原子力関連予算の審議中、特に原子力機構の「もんじゅ」および関連研究開発について、「事業仕分けだけでなく、予算編成の段階でも結論を出せないような、より高度の政治的問題と考えている」と発言。評価結果の評決の際にも、「原子力政策全体の見直しの中で、検討したい。結論は『事業の見直し』というあいまいな形にさせてもらう」と述べた。

枝野氏はFBR開発の審議の中で、「科学技術を担当している文部科学省に、(エネルギー将来見通しの)話を聞いてもしかたがない」と述べ、原子力を含めたエネルギー政策全般を所管する経済産業省に予算や責任を移管した方が良策なのではないか、との考え方も示した。また同氏は、次の審議議題であった原子力機構の深地層処分研究と国際熱核融合実験炉(ITER)研究開発(日欧によるJT―60共同改造)について、「議論の整理を国会議員に引き取らせてもらいたい」として、今後の審議日程後半に先送りした。

経産省所管の電源立地地域対策交付金などの「事業仕分け」は24日から27日までの後半審議で行われる予定。同WGでの評価結果は今後、親委員会の行政刷新会議での審議、具体的な予算額は各府省と財務省との折衝などを経て、年末の閣議決定をめざす。

17日の第3WGでは、原子力関係として、文科省の競争的資金「原子力システム研究開発」、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉サイクル研究開発(もんじゅ、関連研究開発)と材料試験炉(JMTR)研究開発が審議された。

焦点の高速増殖炉サイクル研究開発(「もんじゅ」の運転関係経費233億円、関連研究開発費203億円)で財務省は、建設費および運転管理費を含め今年度までに9000億円余の国費が投入されており、うち運転停止中の維持管理費だけで約2300億円、これは年間約200億円、1日当たり約5500万になると指摘。必要性を検証する必要があり、経費削減を徹底的に行うべきではないか、とした。

また、関連研究開発については、2050年を目途とした次々世代の実用炉に向けた研究であり、「急ぐ必要はないのではないか」と指摘、当面凍結すべきだと主張した。

各委員からは、「『もんじゅ』を作らないと実証炉は作れないのか」、「ウランはどの程度もつのか」、「他国との開発競争がなぜ必要なのか」、「多額の維持費の内訳は」、「売電収入や廃炉コストは」、「運転再開後、あと何年運転できるのか」などの質問が出された。

同WGの評価結果は、「もんじゅ」再開は認めたものの、原子力政策全体の見直しの中で、同事業の見直しを行うことになった。

現在改修工事が進む材料試験炉研究開発の審議での同WGの評価結果は、「事業の見直し」となった。


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