インドに原子力通商団を派遣 米NEI

米原子力エネルギー協会(NEI)と米印ビジネス評議会(USIBC)は6日から11日までの日程で、米国原子力企業による通商代表団をインドへ派遣した。

これとほとんど同時期、インドのM.シン首相はロシアを訪れ、インドでの原子力発電所の建設拡大等を目的とした原子力協力協定をロシアと調印しているが、同首相はそれに先立つ11月下旬には米国を訪問。B.オバマ大統領との共同声明の中で、具体的な商取引によって両国の原子力平和利用協力協定を本格的に実行に移したいと宣言している。インドの巨大な原子力市場を巡る各国の受注競争は本格的な段階を迎えつつあるが、原子力供給国グループ(NSG)の対インド禁輸解除に最も貢献した米国には、インドの再処理に対する合意承認や、同国内の原子力損害賠償法整備など未解決の問題が残されており、やや不利な展開となっている。

インドへの通商団派遣は米商務省の後押しで毎年実施されている。GE日立ニュークリア社やウェスチングハウス(WH)社を始めとする代表的な原子炉メーカーのほか、最大手のウラン生産業者、ウラン濃縮業者、土木建築業者など約25社から50余名の上級幹部がデリーとムンバイを訪問。インド政府高官や原子力発電公社、および民間原子力企業の幹部らと会談した。

WH社のM.ムティアラ担当副社長は、インドが10月に米国製原子炉の設置サイトとしてグジャラート州とアンドラプラデシュ州の2地点を特定したことについて、「非常に勇気付けられている」と述べたほか、シン首相の訪米時にオバマ大統領が米印原子力協定の履行を確約した点についても心強く感じていると表明。米国内や中国のみならず、インドでのAP1000建設にも意欲を示した。

GE日立のD.ロデリック上級副社長も、「インドでの機器製造ではコストを50%抑えることが可能だ」と断言。必要な機器の50〜70%はインド国内で製造できるとの見通しを示すとともに、同社が原子炉機器用の鋳鍛造品製造企業の特定作業を進めていることも明らかにした。

また、USIBCのT.ジョーンズ政策支援理事は、インドが2030年までに6000万kWの原子力設備を整備するという計画を実現すれば、毎年スペイン一国が排出する温室効果ガスの削減につながると強調。インドのもう1つの目標であるCO排出削減計画に米国が貢献できるとの考えを示している。


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