新政権が初の政府予算案 事業仕分け踏まえ 文科パブコメに15万件

政府は12月25日、来年度予算案を閣議決定した。鳩山新政権下で最初となる本予算案は、総額で過去最大の92.3兆円。今回の予算編成では、政権交代により、各府省からの概算要求が、8月と10月の二度にわたって行われた。新内閣のもとで、行政刷新会議の事業仕分け結果を踏まえ、要求額からは2.7兆円削減されている。

文部科学省は、文教関係予算の大幅増を反映し、対今年度比5.9%増の総額5兆5926億円を計上、過去30年間で最高の伸び率となった。原子力分野は、総額2195億円で対今年度比2.7%減、そのうち、高速増殖炉サイクル技術については、大型国家プロジェクトを着実に推進していく考えから、同6.6%増の370億円を確保したが、ITER計画は同10.8%減の99億円となった。また、新規に「国際原子力人材育成イニシアティブ」として、3.6億円が計上されている。

文科省が事業仕分け結果に対して行った意見募集には、合計で15万3000件超の意見があったが、「事業の見直し」との仕分け結果となった高速増殖炉サイクル研究開発については、ほとんどが「予算縮減に反対」とする計約500件の意見が寄せられ、これらを踏まえ「『もんじゅ』の早期運転再開と2025年の実証炉の運転開始が不可欠」との結論に至り、今回の増額となった。

経済産業省は、一般会計総額が対今年度比2.4%減の9922億円、エネルギー対策特別会計が同1.4%減の6938億円を計上した。原子力関連では、「次世代軽水炉等の先進的原子力発電技術開発」に同9.3%増の94億円、世界的な原子力発電導入拡大に対応すべくコア資機材の実用化開発を支援する「原子力産業の国際展開支援」で16億円(今年度補正予算38億円)がそれぞれ確保された。原子力安全・保安院の予算総額は、同9.4%減の326億円となっている。

事業仕分け結果で「見直し」となった電源立地地域対策交付金に対しては、意見公募で約160件の意見があり、立地地域での意見交換会も実施されているが、今後、使途に関する地方の裁量拡大については速やかに所用の見直しを行い、火力発電に対する交付比率の算定については論点整理を実施することとした上で、来年度予算は対今年度比1.8%減の1098億円が計上されている。

直嶋経産相は25日の閣議後会見で、今後も国民の意見を聴く仕組みを考えていきたいなどと所感を述べた。

環境省は、対今年度比5.1%減の総額2104億円を計上、温暖化ガス25%削減に向けた取組「チャレンジ25」などの重点施策を推進する。


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