安全小委WG クリアランスレベル U廃棄物で検討開始 燃料加工施設など対象 今夏にも関係省令整備へ

経済産業省の総合資源エネルギー調査会廃棄物安全小委員会ウランクリアランス検討ワーキンググループ(主査=小佐古敏荘・東京大学工学系研究科教授)は7日、ウラン取扱施設から発生する金属廃棄物に対するクリアランスレベルの検討を開始した。放射能濃度基準、測定・評価方法など、今夏を目処にとりまとめ、関係省令の整備を図る。

原子炉施設におけるクリアランスレベルについては既に、法整備が図られ、日本原子力発電東海発電所の廃止措置に伴い発生する廃棄物に対し、これまでに約400トンのクリアランス確認がなされ、ベンチ、遮へい体などに再利用されている。

一方、原子力安全委員会では、ウラン取扱施設から発生する金属系廃棄物のクリアランスレベルについて、U238など5核種の評価を行い、昨秋に報告書をとりまとめた。本WGは、これを受け、規制行政庁として、具体的制度設計を図るもの。

7日のWG会合では、日本原子力研究開発機構、日本原燃、燃料加工メーカーが廃棄物発生量の見通し、クリアランス計画について説明した。原子力機構の人形峠環境技術センターでは、既に運転を終了したウラン濃縮原型プラントの使用済み遠心機解体などにより、総量で6500トンの金属廃棄物が発生し、その約75%がクリアランス対象となるとしている。当面の対象部品は、ケーシング、回転胴等、大型単純形状のものとなるが、今後の測定技術開発により、軸受、抜出管等、複雑な形状の部品にも実施していく。遠心機処理は、来年度にも準備・着手し、段階的に処理台数を増やしていく計画だ。

日本原燃でも、11年度から実施予定の新型遠心機導入に伴う既設機撤去により、50年度までに約6万トンのクリアランス対象金属の発生が見込まれることから、20年頃には遠心機処理を開始すべく、早期の制度化を求めている。

クリアランス物の再利用については、いずれの事業者とも、当面は原子力施設を想定しているが、社会的受容性を踏まえ、一般市場への普及を目指したいとしている。

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文部科学省の専門家WGは8日、放射性同位元素の使用や放射線発生装置の解体等に伴って発生する廃棄物へのクリアランス制度導入に向けた技術的検討報告をとりまとめた。今後、放射線障害防止法改正、関係省令整備等を図っていく。


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