カナダの2つの州政府 原子力の導入で検討調査

カナダ中西部のアルバータ州政府は、昨年12月14日に原子力発電に対する州民の意識調査結果を公表し、全体の45%が「原子力はほかの発電オプションと同様、個別の案件ごとに検討していくべきだ」と回答したことを明らかにした。これを受けて同州政府は、これまでの政策を堅持し、企業による発電オプション提案のすべてを考慮。原子力については、認可権限を持つ連邦政府と協調しつつ、いかなる計画にも公的資金は投入しないとしている。

同州政府は昨年4月から7月まで、州内の一般市民約5000名や20の討議団体などを対象に、メールと電話で意識調査した。その結果、回答者の45%が「原子力発電所の導入は個別案件ごとに検討すべき」だと答えたほか、19%が「州は民間企業の原子力提案を支援すべき」だと回答。一方、27%は「原子力の提案に反対すべき」、残りの8%は「分からない」と答えていた。州政府では、個別案件ごとの検討を支持するという回答の底流には、次の様な意識が表れていると分析している。

すなわち、@州民の多くが「州には経済的な成長が必要」と信じる一方、少数派は「経済成長には何の価値も必然性もない」とし、後者は原子力をエネルギー選択肢として検討することに強く反対する傾向があるA典型的な州民は「原子力の潜在的な悪影響に恐れを抱く一方で、科学技術と原子力産業によって物事は制御しうる」と確信。科学技術と原子力産業界に対して一貫して肯定的、かつ潜在的な悪影響にもそれほど恐れを抱いていない州民だけが、原子力計画の推進を望んでいるB原子力計画を案件毎に判断したいとする州民は、経済成長には一層の電力が必要と考えており、Aのような矛盾傾向も見られる。一部の人々は電力料金を低く抑えたいと切望する一方、もう一部は経済成長と、その原動力たる電力の役割を信じながらも、原子力の導入には躊躇している−−など。

このほか、州民は州政府が原子力計画を評価する際、廃棄物の扱いも含めてその安全性や環境と州民への影響を最優先とすることを要求。79%の州民が電力料金を出来るだけ低く抑えることは重要だとするものの、電力供給の信頼性や経済的な利益等は、概して安全性や環境などのファクターの後に挙げていた。


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