950m長の建屋完成 他極に先駆けITERコイル製造へ

国際熱核融合実験炉(ITER)で使用する超伝導コイル用導体の製造工場(=写真)が12日、北九州市に完成した。昨年3月に結ばれた日本原子力研究開発機構と新日鉄エンジニアリングとのトロイダル磁場(TF)コイル用超伝導体の製造契約に基づき、両者間で製作準備が進められていた。1本780mの金属管を製作することから、建物は長さ約950mの直線状となっている。

ITER超伝導コイルの1つとなるTFコイル用導体は、インドを除く六参加極が製造することとなっており、日本の調達分担は25%となっているが、今回の国内での製造体制の整備は、他極に先駆けたものだ。

ITERのTFコイルは、約1000本の超伝導素線をより合わせたケーブルを、外径48mm、肉厚1.9mmのジャケットと呼ばれる金属製保護管に収めた構造導体をコイル状に巻線したもので、日本では、781mの導体を24本、463mの導体を9本製作することとなっている。導体製作は、長さ13mのジャケットの端部を溶接してつなぎ合わせた全長780mの直線管の中に、ケーブルを引き込んで成型する。今後は、模擬品製造で技術を実証した後、3月頃より本格製造に入る運びだ。

なお、ITER向け超伝導ケーブルについては昨夏、日立電線(茨城・日立市)に製造設備が立ち上げられている。


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