IAEA新基準 日本の断層モデル活用

IAEAの新たな耐震基準が来月にも公表される見込みだ。現行の地震動評価ガイド「NS―G―3.3」の改訂版となる新たな耐震基準「DS422」は、中越沖地震の知見を取り入れ、断層モデルによる評価を追加していることなどがポイント。原子力安全・保安院が25日の原子力安全委員会で報告した。

IAEA耐震基準は、原子力施設の基準地震動設定と、それに必要な地質・地盤・文献調査の要件を記載しており、現行の評価ガイドは02年に策定された。今回の改訂に際しては、(1)各国の地震PSA評価経験の反映(2)日本・米国での大地震の経験の反映(3)確率論的評価の記載の充実(4)評価の不確実性についての記載の充実(5)原子力発電所以外の施設への展開(6)評価業務における品質管理の充実――の観点から、08年より見直しを行ってきた。日本は、IAEAの専門家会合で、地震動評価について、国内における最先端の動向を踏まえたコメントを提出するなど、当初より基準改訂の議論に関与してきた。

新基準では、従来の点震源による地震動評価に加え、日本で実用化されている断層モデルによる評価を追加したほか、テクトニクス的観点の広域調査・評価、地震計測への要求事項を充実させている。さらに、IAEAでは本年以降、今回の耐震基準改訂に関連して、立地評価、耐震設計に関するガイドラインのアップデートにも取り組むこととしている。

新耐震基準策定に関わった蛯沢勝三・原子力安全基盤機構耐震安全部長によると、IAEA国際耐震安全センターでは、同機構の蓄積した地震動データの分析も行われており、「わが国の断層モデルが国際貢献」などとして、日本で得られた知見が加盟国間の高いレベルの安全性達成に資するよう期待を寄せている。


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