米・GE日立とエクセロン社 BWRでCo60を生産

米国のGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社は19日、同社の放射性同位体(RI)生産技術とエクセロン社の商業用BWRを活用して、Co60を生産することになったと発表した。

国際放射線照射協会によると、Co60は現在、世界80か国の医療機関で毎年1500万件のがん治療に利用されている。また、食料品の保存や包装材料の滅菌、化粧品の消毒、医薬品の精製にも使われ、米国で製造される医療器具の4割がCo60で殺菌処理されている。

こうした米国のみならず世界的なCo60の需要増に対処するため、GEH社はエクセロン社と契約。GE社が原子炉を供給したエクセロン社のクリントン原子力発電所(BWR、107万7000kW)に、GEH社の装備を設置してCo60を生産することにしたもの。具体的には、Co59入りの燃料棒を組み込んだ改造・燃料集合体八体を同機に装荷して中性子を吸収させるが、そのための認可修正は、すでに米原子力規制委員会(NRC)が承認済み。同機の次回の保守点検・燃料交換停止時にパイロット計画が実施される予定だ。

米原子力学会(ANS)は、米国内でRI供給不足が問題になってきた時期に両社が生産協力に合意した点を高く評価。米国ではいくつかの国立研究所が少量のCo60を生産しているものの、商業的に大規模レベルで生産可能な設備がなく、国内で信頼できるRI生産源を確保することは喫緊の課題だと指摘した。

GEH社も、「エクセロン社の既存の発電炉を利用すれば、RI生産用の研究炉を新たに建設するコストを省くことが出来る」と強調。原子力産業界および医療業界にとっても経済的、環境的に有益だとしている。

Co60の生産技術は、カナダのMDSノルディオン社と加原子力公社(AECL)がCANDU炉を使った方法を60年以上前に共同開発。同国のピッカリングA、B両原子力発電所やジェンティリー発電所、アルゼンチンのエンバルセ原子力発電所などのCANDU炉では、200炉・年以上のRI生産経験がある。現在、世界のCo60需要の8割以上を両社がAECLのNRU研究炉を使って生産・供給しているが、経年劣化の進んだ同機は昨年5月の重水漏れにより、早くても今年3月までは停止中となっている。


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