EU 非核兵器国すべてに 統合保障措置が適用へ

国際原子力機関(IAEA)は11日、原子力関連活動を行っている欧州連合(EU)のすべての非核兵器国に対して、「統合保障措置(IS)」を適用することでEUと合意に達したと発表した。計量管理に基づく従来の保障措置手段を合理化することにより、IAEAの人的、財政的な資源が、イランなどを含めて査察強化が必要な国に集中投入されると見られている。

IS適用の条件は、包括的保障措置協定(CSA)と追加議定書(AP)を一定期間にわたって受入れ、「保障措置下にある核物質の(核兵器への)転用」と「未申告の核物質および原子力活動」は存在しないとIAEAが結論付けた国。対象国の国内保障措置体制に応じて検認活動の具体的な組み合わせが構築され、ISとして適用される。昨年末現在の対象国は51か国で、日本や韓国、カナダなどの33か国で実際に適用されている。

英仏以外のEU加盟国では、これまで民生用原子力施設の事業者が核物質の計量管理を行うとともに、EURATOMと加盟国およびIAEAの間で取り交わされた三者協定、さらにEURATOM協定に基づく査察が実施されてきた。今後は一層柔軟で、国ごとにカスタマイズされた査察により、加盟国およびIAEA双方の負担が軽減されることになる。

日本では2004年9月から実用軽水炉や使用済み燃料貯蔵施設などに施設レベルのIS、また、08年8月からは原子力研究開発機構の東海再処理工場の立地サイトを対象にしたISの実施が開始されている。


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