故障減少⇒稼働率向上めざす 機械学会 新検査制度の現状で議論

日本機械学会の動力エネルギーシステム部門(部門長=小泉安郎・信州大学繊維学部教授)は1月26日、東京大学・本郷キャンパスで、「原子力の安全規制の最適化に関する研究会」を開催、新検査制度施行から、1年を経過しての定着状況と今後の課題について議論した。

冒頭、原子力安全・保安院原子力発電検査課の石垣宏毅氏が新検査制度のポイントと運用状況を説明、定期検査ごとに事業者が作成、国に届出を行う保全計画は1月15日現在、建設中含め44プラントの提出があり、そのうち28プラントの確認が終了している進展状況だ。新制度によって期待される効果として、石垣氏は、機器の劣化状況に関するデータに基づく点検や経年劣化対策とリンクした点検の実施など、プラントの特徴を踏まえた検査と、適切に設定された原子炉停止間隔での検査を通じて、「さらなる安全性と信頼性の向上」が図られることなどをあげた。

また、水町渉・原子力安全基盤機構特任参事は、06年から昨年まで欧米を中心に計6回にわたり実施された海外調査の概要を紹介し、規制当局と電力との緊張感を持った協調体制、検査員の定期的な教育など、検査制度重点を掲げたほか、「検査制度も技術の進歩により変わるべき」として、米NRCの実例から毎年、国民の意見を聴き反映させていく必要にも言及した。

国内の状況については、奈良林直・北海道大学工学部教授が、機械学会による発電所訪問活動を紹介、書類作成作業の効率化、適切な運転サイクル長とオンラインメンテナンスによる定検期間の短縮の必要など、現場から抽出した意見を研究活動での議論に役立てていることを述べた上で、トラブルの減少→稼働率の向上へと変革していく必要性を指摘した。


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