エネ基本計画見直し開始 成長戦略とも連携 経産政務三役も初会合に出席

経済産業省の総合資源エネルギー調査会・基本計画委員会(委員長=黒田昌裕・東北公益文化大学学長)は9日、エネルギー基本計画見直しに向け、審議を開始した(=写真)。07年の改定以来、3年ぶり。2030年を視野に入れたエネルギー政策の方向性を示すものとして、5、6月頃の取りまとめを目指す。

今回、二度目の見直しとなる同計画は、エネルギー需給に関する施策の長期的、総合的、計画的な推進を図るための基本的な計画として、成長戦略、地球温暖化対策とも連携させた今後の資源エネルギー政策に反映していく。

初会合には、直嶋正行大臣ら政務三役も出席、直嶋大臣は、今回のエネルギー基本計画改定に際しての3つの観点「安定供給の確保」、「環境への適合」、「効率性の確保」を強調した上で、「わが国の成長戦略の中核」として、大胆な見直しがなされるよう、活発な討論を委員らに期待した。

審議開始に当たり、資源エネルギー庁が、「エネルギー政策の中長期的な方向性」、「エネルギー需給構造改革を通じた産業・社会構造の転換」、「経済成長の誘発」を検討の視点に掲げた上、昨今のエネルギー政策を巡る国内外の情勢と課題を整理・説明、経済成長と地球温暖化とエネルギーセキュリティのトリレンマを示し、解決に向けた制約条件、社会的要請の高まりなどを述べた。

これらに対し、委員からは、原子力発電・核燃料サイクルに関し、「発電量比率は40%ではなく50%、稼働率は80%ではなく90%へ」(内藤正久・日本エネルギー経済研究所理事長)などと、積極的推進を求める意見の一方、「地元に対する安全の理解を」(橋本昌・茨城県知事)、「高レベル放射性廃棄物処分問題も含め、エネルギー政策全般について市民社会が学べるように」(ジャーナリスト・崎田裕子氏)との声もあった。

なお、今回のエネルギー基本計画見直しに際し、今月28日まで一般からの意見募集も開始されている。


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