ウレンコ社の米国法人 遠心分離法 濃縮工場で機能試験

ウレンコ社の米国法人であるウレンコUSA社(LES社から改称)は4日、米ニューメキシコ州ユーニスで建設中の遠心分離法ウラン濃縮工場(NEF)で、低周波数による最初の遠心機回転テストが成功裏に完了したと発表した。

今回の試験で、同社はNEFの遠心機の電気的、機械的な性能を確認。今後は駆動系から機械系まで設計要求通りに機能することを一連の試験運転で確証する。商業運転に関する米原子力規制委員会(NRC)の承認を待って最初のカスケードを稼働させる予定だ。

NEF建設計画でウレンコ社は、2006年6月にNRCから建設認可取得。同年8月に着工し、07年にコンクリート打設を実施している。翌08年11月には生産能力を当初計画の3300トンSWUから5900トンSWUに拡大を決定。昨年2月に最初の六フッ化ウランを現地に運び込み、9月には最初の遠心機を設置していた。

米国では現在、新たな原子炉の建設計画進展を見込み、米国濃縮会社(USEC)がオハイオ州で米国遠心分離工場(ACP)を建設しているほか、仏アレバ社もアイダホ州で遠心分離法工場を建設中。また、ノースカロライナ州ではGE日立ニュークリア社が分子法のレーザー分離法による濃縮工場建設を計画している。

容量が1万2200トンSWUに拡大

なお、ウレンコ・グループが先月公表した2009年の実績報告によると、欧州3か所にある遠心分離工場での拡張工事により、同社の濃縮能力は著しく向上。今年はNEFの始動も加わり、さらなる発展が見込まれるとしている。

昨年末までに新たに増強した欧州3か所の濃縮容量は約1200トンSWUで、同グループ全体の年間濃縮容量は、1万2200トンSWUとなった。オランダ・アルメロ工場では、昨年中に第5分離ホールが完成したのに続き、第6ホールの設置工事を開始。さらに同社理事会は昨年の最終四半期、これら両ホールのさらなる容量拡大を承認しており、今年の後半にも作業の開始を予定している。

ドイツのグロナウ工場では第2分離ホールの運転認可取得にともない、操業を開始。英国のカーペンハースト工場では、同社理事会がテールズ・マネジメント施設(TMF)の建設を正式に承認した。TMFで同社は濃縮工程の副産物である劣化ウランの大部分を再転換し、環境への影響を最小限に抑える方針だ。

こうした欧州と米国における設備拡大によって、同社は2015年までに1万8000トンの容量目標を達成するとしている。


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