温対基本法案に原子力も 直嶋経産相 「きちっと織り込む」と表明

政府が今期通常国会へ提出する「地球温暖化対策基本法案」に、基本的施策として、原子力利用も盛り込まれる方向で調整が進められている。2月26日の環境省政策会議で、同法案の概要版が示されたもの。

それによると、法の目的として、地球温暖化の防止を「人類共通の課題」に掲げ、「国際的な枠組みの下に地球温暖化の防止に取り組むことが重要であることにかんがみ、世界全体における温室効果ガス排出量の削減に貢献する」ことなどをうたっている。また、基本原則として、豊かな国民生活と産業の国際競争力の維持、国際的協調、技術・研究開発成果の普及、雇用の安定、諸施策との連携など、5項目をあげた。

その上で、国内における温室効果ガス排出量削減の中期目標として、「20年までに90年比25%減」、長期目標として、「50年までに90年比80%減」と掲げた。

また、地球温暖化対策の総合的・計画的な推進を図るよう、政府には基本計画の策定を求めている。

基本的施策としては、(1)国内排出量取引制度の創設(2)税制全体の見直し(3)固定価格買取制度(4)各分野の取組(暮らし、ものづくり、地域づくり)(5)原子力の利用(6)国際的協調(7)地球温暖化への適応(8)監視観測等(9)政策形成への民意の反映等――を掲げている。

また、環境省は昨年末、法案作成に向けたパブリックコメントを実施しており、26日の政策会議では、その結果も示された。本紙に関連するものとしては、「原子力の積極的な活用を含めた供給側の最適なエネルギーバランス等、総合的なエネルギー政策の中で検討すべき」、「原子力発電は温暖化防止に大きな効果があり、政府の積極的な位置付けや支援が必要ではないか」といった意見があった。

直嶋正行経済産業大臣は同日の閣議後会見で、法案の閣内での調整に関する記者からの質問に対し、「原子力発電の重要性についてはきちっと織り込む」との考えを表明した。


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