清水建設 放射化コンクリート、100分の1に コバルトなど硝酸使い除去

清水建設は2日、今後大きな課題となってくる原子力施設解体で出てくる放射性コンクリートの分量を100分の1程度に削減できる技術を開発したと発表した。

コンクリートが原子炉などの近くで放射化され放射性廃棄物になるのは、骨材中に極微量に含まれるユーロピウムとコバルトの金属原子に中性子が当たって、これらの元素が自ら放射線を出すようになるため。今回、放射化コンクリートの中から、ユーロピウムとコバルトを効果的に除去する技術を開発し、実用化にメドをつけたもの。

具体的には、放射化コンクリートを数ミリメートルの大きさに粉砕し、それを120℃の硝酸に24時間浸すと、砂利や砂の骨材やセメント分から、ユーロピウムとコバルトをはじめとするさまざまな金属が硝酸中に溶出してくる。溶出した金属は、硝酸中にアルカリを加えて中和していく段階で、それぞれ特定のpH(ペーハー)の値になると金属塩となって析出される。ユーロピウムとコバルトはpHが7〜8になると析出されるので、それらをろ過して回収し放射性廃棄物として埋設処分する。硝酸処理後のコンクリートは、ユーロピウムとコバルトの含有量が従前の10分の1以下となり、放射性物質として扱う必要がなくなるため(クリアランスレベル以下)、骨材は再利用、鉄やアルミニウムを含む塩化物は一般産業廃棄物として処分できるという。

開発試験は、放射性物質を用いないコールド試験で、1回当たり10kg程度のコンクリート処理試験を行った。

放射性廃棄物として回収するユーロピウムとコバルトなどは、放射化コンクリート全体の1%以下となり、9割の回収骨材・セメントゲルは再利用が可能だ。

110万kWクラスのBWR原子力発電所を解体する場合、1基当たり4000トン(2000立方メートル)を超す放射化コンクリートが発生する見込みで、今回の技術が事業化されれば、40トンにまで削減されることになり、低レベル放射性廃棄物の処分需要も大幅に抑制できることになる。


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