ブルガリアのベレネ建設計画 投資家選定手続き開始

国営ブルガリア・エナジー・ホールディング(BEH)社は2月19日、資金調達問題で滞っているベレネ原子力発電所建設計画で、戦略的な投資企業を選定するためのコンサルタントを募集すると発表した。

これは同日、ブルガリアとロシア両国のエネルギー相、およびロシアの総合原子力企業・ロスアトム社総裁の三者会談で、同社から一時的にベレネ計画へ20億ユーロ融資することが決まったのに伴う措置だが、ブルガリアの蔵相は「新たな投資企業が決まらなければ計画の中止もあり得る」としており、状況は依然として流動的だ。

この計画でロシアは過去二度にわたって融資を申し出ていたが、ブルガリア政府の保証を要請していたためブルガリア蔵相はこれに強く反対。このため、今回の融資にブルガリア政府の保証は付かず、国外からの投資企業が決まり次第、ブルガリアはロシアに借入金を返済することになっている。ロシアはその見返りとして、完成した原子炉の所有権15%〜20%を保有する。

ベレネ発電所の建設計画では、ドイツのRWE社と合弁で設立したNEK社が08年、ロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社を主契約者に選定。100万kW級VVER(計装制御系は仏アレバ社と独シーメンス社製)2基の建設が決まっている。

しかし、昨年7月に発足した新政権の財政立て直し政策により、資金調達に関するRWE社との最終合意文書調印が遅れ、RWE社は昨年11月にNEK社から撤退した。

また、総工費が当初の40億ユーロから100億〜120億ユーロに拡大したこともあり、ブルガリア政府はNEK社への出資比率を当初の51%から20%〜30%に引き下げる可能性について検討開始。12月には、(1)新たな出資企業の選定(2)資金調達構造の再検討――を任せるコンサルタント選びを実施すると発表していた。今回開始されたコンサルタントの申請受付は3月25日までとし、6月中旬までに決定する。

両国エネルギー大臣の会談に同席したロスアトム社のS.キリエンコ総裁は、「非常に有益で競争力のある計画なので、投資家探しで1年半〜2年くらい時間がかかったとしても継続すべきだ」とコメント。ロシアが一時金を融通する理由を説明するとともに、ブルガリア政府の保証は必要としていない点を強調した。

なお、この融資を契機にロシアが最終的に同発電所の所有者となる可能性を指摘する向きもあるが、ブルガリアの経済相は「ロシアの持分を20%までに押さえ、不足分は完成炉からの売電収入で返済する」としている。


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