温対法案で産業界が意見 経済、雇用への影響懸念

経済産業省は4日の政策会議で、政府が今国会に提出する予定の地球温暖化対策基本法案について、電気事業連合会など産業界からのヒアリングを行った(=写真)。主要業界9団体は先月26日、連名で同法案に対し、(1)国民の理解と納得を得るための民主的プロセス(2)中期目標や主要施策の位置付け(3)産業界の決意――で提言を出しており、今回、そのうちの5団体が、国に対し地球温暖化対策の経済や雇用等に与える影響への十分な国民理解の獲得を求めるとともに、産業界として、検討プロセスへの積極的参画の姿勢をそれぞれの立場から改めて訴えた。これらを踏まえ、同法案は9日の副大臣級会合を経て、12日にも閣議決定される運び。

冒頭、増子輝彦副大臣は、参集した約20名の国会議員らに対し、法案の概要を説明、理念として「経済と環境の両立」の重要性を第一に強調した。

産業界からの意見陳述で、森本宜久・電事連副会長は、CO排出の大半がエネルギー消費に伴うことから、地球温暖化対策基本法案とエネルギー政策との整合が図られるよう求めたほか、低炭素社会に向けた電気事業者の供給サイド取組として、(1)原子力の利用(2)再生可能エネルギーの拡大(3)化石燃料利用の高効率化・排出削減対策――を挙げ、特に、原子力発電については「『最小費用で最大効果』を得られる地球温暖化対策の切り札」として、法案の中で明確に位置付けられるよう訴えた。地球温暖化対策税、排出量取引制度などの個別施策に関しては、制度導入によるCO削減効果、国民生活や産業に与える影響、既存制度との関係等、「環境政策全般として総合的な視点での慎重な検討」を求めた。

政策会議ではこの他、日本鉄鋼連盟、日本化学工業協会、日本自動車工業会、石油連盟が意見を述べた。

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環境省の中央環境審議会地球環境部会(部会長=鈴木基之・放送大学教授)は5日の会合で、地球温暖化対策基本法案について、委員からの意見を聴取した。

その中で、猪野博行氏(東京電力副社長)は、温室効果ガス削減に量・コストの面で最も効果的な施策として、「原子力の利用促進」を明確に規定するよう求めている。


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