モリブデン供給不足乗り切る 厚労省が報告

厚生労働省は2日、原子力委員会の原子力政策大綱政策評価「放射線利用」に係る関係機関ヒアリングの中で、我が国におけるモリブデン(Mo‐99)を原料とした放射性医薬品の供給について報告した。

がんの診断薬や骨検査などに使用されるテクネチウムの原料となるモリブデンの供給は、カナダNRU炉の長期故障停止によって世界的に逼迫する中で、同省は「代替検査などにより、必要な検査は100%実施された」と報告した。カナダは全世界の3割のMo‐99を供給しており、日本は必要量の100%を輸入に頼っているのが現状で、そのうちの約半分はカナダから供給を受けていた。

当面は南アフリカやオーストラリアなどカナダ・オランダ以外からも輸入し、調達ルートの多様化を図るが、長期的には原子力機構のJMTRを利用するなど、国産化も検討していく、とした。

近藤原子力委員長はその後、9日の原子力委員会で、「Mo‐99の件では厚生労働省に音頭をとってもらうというところまできている」と言及、後は製造方法についての意見の相違などを調整中だと説明した。

1995年2月の「特殊法人の整理合理化」に関する閣議決定を受け、当時の原子力研究所の放射性同位元素(RI)製造頒布事業も、民間移転などを推進することが決まった。合理化方針は(1)海外から輸入可能なRIの製造・頒布は中止(2)需要が大きい工業用Ir‐192、Co‐60製造は民間移転(3)研究開発用RI、特殊仕様の医療用線源(Ir‐192、Au‐198)は、民間移転など具体的方法について検討――とされた。


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