ユッカマウンテン計画 申請取下げで打ち切りが確定

米エネルギー省(DOE)は3日、審査段階にあったユッカマウンテン放射性廃棄物処分場建設計画の認可申請を「確定力のある決定」として取り下げるため、手続き申請書を米原子力規制委員会(NRC)に提出した。

原子力産業界が継続審議と復活に一縷(いちる)の望みをつないでいた同計画も、ついに息の根を止められた形。DOEのチュー長官は同日、下院・科学技術委員会で、「代替案が策定されるまでの間、廃棄物は少なくとも50年間、発電所サイトで乾式貯蔵が可能だ」と説明している。約20年間と100億円以上を費やした同計画に替えて、新たな方策やサイトが決まるまで、産業界はさらなる忍耐を強いられることになった。

その一方で同長官は、「ユッカマウンテン計画の打ち切りは原子力の利用拡大に向けたDOEの努力に何ら影響を及ぼすものではない」と明言しており、原子炉の新設を重要政策とするオバマ政権の方針を改めて強調している。

DOEによると、「連邦政府が廃棄物の長期的な貯蔵という義務を遂行する」という点でオバマ大統領は全力を尽くすと断言。計画の打ち切りを踏まえてチュー長官に命じた政府の特別委員会が設置されており、燃料サイクルのバックエンド管理に関して包括的な政策を審議、安全で長期的に可能な解決策を勧告することになると強調した。

同特別委員会のメンバーは1月末、共同委員長を務めるL.ハミルトン元民主党下院議員およびB.スコウクロフト元大統領補佐官を含めた15名の指名が公表されており、今月25日、26日にワシントンで第1回会合を開催予定。18か月以内に中間報告書、24か月以内に最終報告書を作成する。

同委の具体的な取組み課題は以下のとおり。(1)既存の燃料サイクル技術と研究開発計画の評価(2)使用済み燃料の安全な貯蔵方法(3)深地層処分も含めた使用済み燃料と高レベル廃棄物の永久処分方法(4)既存の、あるいは潜在的に可能な燃料サイクルを考慮した廃棄物管理の法的、商業的な手配方法(5)柔軟性があり、適応力のある意志決定手続きの方法(6)オープンで透明性のある意志決定を保証する方法(7)放射性廃棄物法1982の修正も含めた既存の法改正および追加の法整備の可能性−−など。


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