学術会議 「大規模研究計画」でマスタープラン策定 推進のあり方で提言も

日本学術会議は17日、国内で進められる「学術の大型施設計画・大規模研究計画」について、所要経費、計画期間、期待される成果、国際共同のレベル、構想の成熟度をまとめたマスタープランを策定し、合わせて、その企画・推進のあり方に関する提言を発表した。

同会議の「学術の大型研究計画検討分科会」(委員長=岩澤康裕・電気通信大学電気通信学部教授)がとりまとめたこのマスタープランでは、人文・社会科学、生命科学、エネルギー・環境・地球科学、物質・分析科学、物理科学・工学、宇宙空間科学、情報インフラストラクチャーの各分野で推進する計43課題を取り上げているが、これらを「大型施設計画」と「大規模研究計画」のカテゴリーに分類(重複もあり)しているのが特徴だ。

これまで行われてきた大型施設の建設・運用に加えて、重要課題のもと、長期間にわたって多くの研究者を組織し、設備・方法論を開発したり、大規模なデータ収集組織やデータベースを構築して、効果的利用を推進するといった「大規模研究」の概念の整理・確立、政策位置付けが必要との認識から、「大規模研究計画」としては、計24課題のマスタープランが示されている。

弊紙関連では、「大規模研究計画」として、「高温工学試験研究炉を用いた高温ガス炉水素製造システム開発計画」があげられ、「発電のみにとどまっている原子力の利用分野を大きく拡大」などと成果を期待しているほか、原産協会での普及促進活動、鉄鋼協会による水素製鉄炉の研究を行っていた実績も述べている。この他、LHDとJT―60SAによる「高性能核融合プラズマの定常実証研究」、J―PARCを用いた「高強度パルス中性子・ミュオンを用いた物資地・生命科学研究」、「Bファクトリー加速器の高度化による新しい物理法則の探求」などがあげられている。

一方、提言では、「大型計画」の企画・推進に向け、ボトムアップ的な基礎科学とトップダウン的な国策的計画のバランスよい資源投資と、協力的かつ総合的推進による学術の強化、科学者コミュニティの主体的寄与、人材育成と教育体制の確立などについて、関係各方面における速やかな検討を求めている。


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