二国間協定に向け準備 米国とベトナムが覚書締結

米国とベトナムは3月30日、民生用原子力利用分野における協力覚書(MOU)を締結し、安全保障の最大化と核拡散リスクの最小化を図るという共通の目標に向けた協力の推進で合意した。

この覚書には、米国のM.ミハラク駐越大使とベトナム科学技術省のL.ティエン副大臣が調印。将来、米国の原子力企業がベトナムの原子力市場に参入するなど、両国の協力を実質的に進展させる法的枠組みとなる二国間の原子力平和利用協力協定締結に向けて両国政府が交渉していく足がかりとなる。

今回の覚書では、原子力関係の人材養成や安全保障インフラの整備、放射性廃棄物と使用済み燃料の管理のほか、発電炉の規制要項と核燃料サービスの手配について協力の拡大が明記された。今後数十年間にベトナムが初めて導入する発電炉のために、核燃料サービスの国際市場で信頼できる供給源の確保が可能となることを盛り込むなど、その他の国との原子力協力と同様、原子炉の操業に不可欠の堅固なインフラ開発に向けて慎重に計画を進めていく方針だ。

調印式典のスピーチで、ティエン副大臣はこれまで米国との間で締結した複数の原子力関連協力を列挙した。特に、ベトナムが2007年9月、国際原子力機関(IAEA)および米ロ両国との合意に基づき、ダラト原子力研究センターにあった36%の中濃縮ウラン新燃料を濃縮度19.7%のロシア製ウランと交換した件に言及。今後は、同センター内の研究炉を低濃縮ウラン仕様に転換し、2012年までに中濃縮ウランの使用済み燃料をロシアに返還するなど、核不拡散の目標に向けて活動していくと強調した。

同副大臣はこの関連で、米国のオバマ大統領が今月中旬、ワシントンDCで核安全保障世界サミットを開催予定であることを紹介。ベトナムのズン首相も同サミットに代表団を率いて参加する予定であることを明らかにした。同副大臣はこのほか、米国の原子力企業について、「最も高性能な技術と先進的な機器、包括的なエンジニアリング・サービスを提供してくれるだろう」との期待を表明している。


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