米国・インド 再処理交渉で合意 原子力貿易実施に向け、一歩前進

米国とインドは3月29日、米印原子力協定の下で実質的な原子力貿易を行うためのハードルの1つである、再処理の取り決めと手続きに関する交渉で合意に達した。

これにより、インドは国際原子力機関(IAEA)の保障措置下に置いた専用の再処理工場で、米国起源の核燃料を再処理することに事前同意が得られることになった。

これは同日、T.レーマー在印米国大使が明らかにしたもので、1500億ドル規模への急成長が見込まれるインドの民生用原子力市場に対し、米国の原子力企業が参入するための重要な一歩が刻まれたと強調。インドにとっても、十分なエネルギー供給が保証されるなど、双方が利益を得られるパートナーシップの実現に近づいたとしている。

米印両国は08年に民生用原子力協力協定を締結。しかし、米国企業が原子力技術や機器を輸出するには、今回の合意に加えて、(1)米エネルギー省が連邦規制基準に基づいてインドへの原子力技術輸出を認める(2)インドが国際社会レベルの原子力損害賠償制度を導入する−−が必要だ。

インド政府は昨年11月に原子力賠償責任法案を承認し、議会審議にかけていたが、賠償責任上限の低さ等を危惧する国内の反対勢力および米国の原子力企業の反対により、3月15日に同法案を取り下げている。このため、両国の原子力貿易の実現には今暫く、時間がかかる見通しだ。


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