イタリアのEPR建設で仏伊が協力強化 伊産業界の参加拡大へ

イタリアでのEPR(欧州加圧水型炉)建設計画を一層加速していくため、イタリア電力公社(ENEL)とフランス電力(EDF)、およびイタリアのアンサルド社は9日、パリで協力覚書に調印した。

これは仏国のN.サルコジ大統領とイタリアのS.ベルルスコーニ首相の定期会合の場でまとめられたもので、協力期間は最短でも5年間。EDFとENELは昨年2月、イタリアに少なくとも4基のEPRを建設することで実行可能性調査の実施で合意し、折半出資の合弁企業を設立している。この計画はイタリアにおける原子力復活を意味するもので、今回の協力を通じて、同国原子力産業界が参画する機会を最大限に拡大するのが主な目的だ。また、将来的にはイタリア以外のEPR建設計画にも協力範囲を広げることが可能になるとしている。

覚書では3社が潜在的に協力可能な分野を明記。EDFとENELは投資者およびアーキテクト・エンジニアとしての役割とともに原子炉の設計・建設および起動、プロジェクト管理全般に責任を負う。一方、アンサルド社は原子力システムの調査や設計、認可手続きに関するノウハウを提供。機器の供給および設置、エンジニアリング・システム一式に関してEDFらが実施する認定・入札手続きにも参加することになっている。

なお、EPRを開発した仏アレバ社は同日、イタリアの原子力産業界および学界の三者と長期的な原子力パートナーシップ契約を締結している。

1つ目の契約はアンサルド社とのもので、EDFとENELによるEPR建設計画に対し、エンジニアリングや機器供給および組立て・起動試験などの面で協力する。

2つ目はエンジニアリング会社であるテキント社との契約。同社の大型産業施設の設計・建設に関する経験を共有し、将来の世界のターン・キー原子力プロジェクトで協力していく。3つ目はイタリアの原子力技術研究に関する大学間連携コンソーシアムであるCIRTENとの協力合意で、同国の原子力人材育成に貢献し、同国の競争力強化を支援する計画だ。


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