原産協会 海外展開で提言 競争力強化に国も支援を

日本原子力産業協会は、日本の原子力発電技術を国際展開するための意義や必要性を盛り込んだ「我が国の原子力産業の海外展開に向けての提言」を取りまとめ、19日、仙谷由人・国家戦略担当相など、関係府省、原子力委員会などに提出した。

原産協会では、昨年10月から「原子力産業海外展開検討会」(委員長=柳井俊二・元駐米大使、原産協会顧問)を設置して検討を重ねてきており、国が策定中の「新成長戦略」に合せて提言を取りまとめたもの。

同提言では、原子力産業を海外に展開することの意義を整理した上で、他国との競争に勝ち、海外展開、特に原子力発電の新規導入国への展開を成功裏に進めることをめざしている。

「世界への貢献」では、地球温暖化対策やエネルギー・セキュリティーはもとより、アジア地域の持続的発展と地域安全、原子力の平和利用の推進と同時に核不拡散体制の維持に貢献する、としている。

また、「我が国にとっての意義」では、(1)雇用促進、産業空洞化防止および持続的な経済成長の牽引力となる(2)国内の技術力の向上と人材の確保(3)近隣諸国における原子力安全の確保に資する(4)海外展開を進める中で、原子力発電への国民的理解が深まる(5)海外を含めた運転経験の蓄積や共有化が進み、原子力運用システムの高度化およびグローバル化が進展する――などの点を挙げている。

そのため国への要望は、(1)首脳レベルでの働きかけ(2)国と民間で構成する戦略本部の設置(3)大使館を含む外交機能の強化(4)二国間原子力協力協定締結への積極的な対応(5)国際競争力を高めるために国の何らかの制度的措置(6)政府開発援助(ODA)を活用した社会・経済インフラ整備支援などの幅広い戦略的な取り組みの検討――などを要請している。


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