アルゼンチンとロシアが合意 新規建設に向け協力強化

アルゼンチンとロシアは15日、原子力の平和利用分野で相互交流を図る合意文書に調印した。

アトーチャ原子力発電所で3号機の建設を検討しているアルゼンチンは、ロシア型PWR(VVER)を建設する可能性調査のための技術情報をロシアと共有するとともに、同計画にアルゼンチン産業界が参画する度合いを定める共同作業グループの設置を目指す。ただし、具体的な建設計画を前提にしたものではないと強調しており、VVERの設計・建設および燃料供給でロシアから協力の準備があることを示す内容だ。具体的な建設仕様や入札については今後、同国政府が決めることになるとしている。

また、アルゼンチンは現在保有している燃料製造工場などのほかに、国内でその他の燃料サイクル施設を建設することも検討中。今回の合意の下で研究開発協力を実施する可能性も視野に入れている。

両国の合意は、ロシアのD.メドベージェフ大統領がアルゼンチンを訪問したのに合わせたもので、調印はロシアの総合原子力企業であるロスアトム社のS.キリエンコ総裁とアルゼンチン計画投資サービス省のJ.デビド大臣が行った。

両国間の原子力関係協力としては3番目に当たり、二国間の原子力協力協定は1990年10月に締結済みだ。また、ロスアトム社とアルゼンチン計画投資省は2008年12月にも平和利用協力で共同声明を出している。今回は今年2月に交わした了解覚書(MOU)が正式承認されたことになる。

アルゼンチンでは現在、加圧重水炉であるアトーチャ1号機とエンバルセ原子力発電所が稼働中のほか、一時中断していたアトーチャ2号機の建設工事も07年に再開。後続の同3号機については、ロシアだけでなくすでにカナダや韓国、仏国、米国とも協議を始めている。

この関連でアルゼンチン投資省は今月12日、デビド大臣が米国ワシントンのウェスチングハウス(WH)社を訪れ、アトーチャ3号機の建設可能性について協議したと発表。5月後半にWH社が開催する原子炉技術セミナーに、アルゼンチン側の技術ミッションとして同省および原子力委員会(CNEA)のほか、原子炉設計企業であるINVAP社、国営原子力発電会社(NASA)などが参加する一方、6月末にはWH社の上級幹部がアルゼンチンを訪問する予定だとしている。


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