【第43回原産年次大会】 特別講演 ピョートル・シェドロビツキー・ロスアトム副総裁(戦略開発・科学技術政策)「ロシアの原子力発電開発計画」

ロシアの原子力は2005年、ロスアトム社にキリエンコ総裁が登場して以降、安定的かつダイナミックに成長。ロシアの発電量は99年から2009年までの10年間で30%も伸びた。国内経済成長においても、原子力産業の競争力と適正な価格が支えとなってきた。安全な運転と高い稼働率を継続して保っている。

国内の原子炉は、約半分が加圧水型軽水炉(VVER)であり、世界中に普及しているロシア型PWRである。もう半分はRBMK型だが、チェルノブイリ事故以降大きく改良されている。既存設備の多くは70〜80年代はじめに作られており、現在寿命を延長している。今後安定した発展に向け、新炉の建設が欠かせない。2007年には、2020年までの原子力産業発展プログラムが採択され、今後ロスアトムは複数の原子力発電所を完成させていく。

国外にもロシア設計の原子力発電所が52基あり、36基が8か国で運転中である。今後はアジアにオファーを広げたい。インドとは既に3つのサイトで12基の建設を合意している。中国の田湾サイトにも3号機、4号機を新設予定、ベトナムにも建設予定がある。その他、現在建設中の発電所も多い。

ロシア大統領は、今後の発展の方向性を発表した。短期的にはVVER技術の最適化、中期的には高速増殖炉にもとづく先進的燃料サイクル、長期的には核融合の新しい技術を見据えている。

ロシアは高速炉の発展に舵をきっている。高速炉は原子力の安全性向上と使用済み燃料問題の解決策となり、経済的観点からも有利である。これを一国で進めていくか、他国との協力の中で進めていくかは現在検討中である。

また、冷却材の選択肢として、ナトリウム以外に鉛炉、鉛ビスマス炉などの研究も進めている。

競争力の件について留意したいのは、軽水炉に対してのみ優位性を持っているのでは不十分であり、今後は再生可能エネルギーが伸びてきて最大のライバルとなることである。ソーラーもどんどん安くなり、他のエネルギーに関しても全体へ大きく貢献するようになる。原子力の現実をしっかりと見つめ、代替エネルギーも含めた広い観点から選ばれるエネルギー源として将来の方向を探りたい。


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