【第43回原産年次大会】 セッション1 <基調講演> フランツ・ミカエル・スキョル・メルビン・駐日デンマーク大使

昨年末にコペンハーゲンで開催されたCOP15では、期待されるほどの十分な成果は得られなかったものの、エネルギー政策を大きく変えるという勢いが見られた。特に、重要なのは、多くの国が化石燃料への依存を下げようとしていることだ。将来的に、このようなCO排出削減の方向性は、今後数年にわたり、進展していくだろう。

将来のエネルギー政策を考える上で、重要なのは、「グリーン・フューチャー」(環境にやさしい未来)だ。多くの人々が、物価の上昇とか、生活する上で制約がかかることに何かしらの不安を持っているが、これでは駄目で、柔軟なライフスタイルの維持はやはり無視できないと思う。

電気自動車は、「社会の電化」という点で、非常に大きな意味を持っている。「電化」の流れの中で、原子力開発への期待は大きいのだが、果たして実行されるのかが問題だ。これまで、大事故の発生により、原子力が「賛否両論の技術」となり、一度は撤退してしまった国々もあるが、昨今になって、世界的に顕著な回帰の動きもみられ、今は正にそのチャンスを活かす「またとないタイミング」にあると思う。

一方で、風力も今後、世界的に大幅な伸びがあるものとみられる。ここで、私が日本の原子力産業界に言いたいのは、「原子力と再生可能エネルギーがいかに補完し合うことができるか」に目を向けて欲しいということだ。これは、原子力が社会的文脈の中にキチンと位置付けられるという意味で非常に重要なことである。


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