【第43回原産年次大会】 セッション2 P.K.トアン・ベトナム商工省エネルギー研究所長、「実現へと動き出したベトナムの原子力発電導入計画」

ベトナムでは2015年までは需要に見合った電力供給が可能と予測されていた。しかし、20年頃までには発電に必要な1次エネルギーが最大で1120億kWhが不足、35年頃には不足分が2180億kWhとなることが判明した。これを補うために、省エネルギーやエネルギー輸入などのシナリオが検討されたが、最終的に原子力発電所の建設を考えるべきとの結論に達した。

原子力開発は1970年に開始しており、89年に商工省(MOIT)が管轄する電力公社(EVN)の子会社としてエネルギー研究所(IE)を設立。96年になると政府はMOITと科学技術省(MOST)に原子力導入調査の着手を命じており、02年〜03年にかけてプレFSを実施した。

この結果はIEが報告書に作成し、修正・更新作業の後、国家評価委員会に提出。09年11月に国会で承認されている。現段階では、南部ニン・トゥアン省のフォック・ディン(第1発電所)とビン・ハイ(第2発電所)に、それぞれ100万kW級軽水炉を2基ずつ建設する計画で、第1発電所は20〜21年にかけて、第2は21〜22年の運開を目指している。

プレFS後の作業としては、(1)第1発電所計画実施のためのマスター・プラン更新(2)サイト計画に関する調査の報告書とFS報告書に対するコンサルティング(3)人材育成計画の立案と当局の承認取得(4)法的枠組みの完成――などを行う。

これらのうち、法制度の整備と人材育成は、資金調達や核燃料の供給保証、廃棄物管理、原子力安全などとともに今後の対応が必要な課題。ただし、ベトナムには政府の確固たる開発決意があり、国民からの支持もある。また、5か国と原子力協力協定を締結するなど良好な国際環境によって、これらの課題に対処していくことができるだろう。


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