【第43回原産年次大会】 セッション3 「事実に基づき議論を」 ガウス独町長 運転延長を要請中

ドイツでは現在、17基約2150万kWの原子力発電所が運転中だ。原子力発電はベースロードの45%、総発電電力量の約4分の1を占めている。現在の原子力法では、今後5年以内にビブリス原子力発電所2基を含む、7基約700万kWが閉鎖される。

ビブリス発電所には約1000人もの社員が働いており、そのうちRWE電力会社は約700名もの非常に質の高い雇用を創出しているとともに、新規雇用や社員教育にも力を注ぎ、発電所の信頼性を高めている。外部企業への発注額は、年間約1億8000万ユーロ(燃料コストは除く)、協力会社数は約1200社以上にのぼる。7200万ユーロがビブリス内に投じられているほか、RWEはさまざまな組織、慈善援助団体等も支援していることから、発電所の閉鎖はビブリスとその周辺地域全体に大きな影響を及ぼすものと考えられる。ビブリス町にとっても、購買企業が失われ、税収も減少することが考えられる。

我々は、ビブリス発電所をめぐる不確実な将来の中で生活している。A号機の残存発電量はわずか6か月の運転期間分しかなく、発電量の移譲や運転期間延長の認可が得られなければ、運転終了ということになる。ビブリス町議会は2004年、連邦政府の全ての政党に対しビブリス発電所の運転期間延長を要請し、同発電所を考慮に入れたエネルギー供給政策を要求した。

原子力発電が世界的に見直されてきている今、ドイツも再考する時が来ている。すなわち、(1)原子力発電なくして、エネルギー供給保障や競争力、持続可能な開発をいかにしてバランスのとれた形で実現していくことができるのか(2)自国の経済や雇用市場、CO2削減目標を損ねることなく、原子力発電から撤退できるのか(3)原子力分野でのリスク評価も必要(4)原子力発電は合意を得る必要がある。そのためには、議論は事実に基づいて行わなければならない。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで