原子力機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」 14年半ぶりに性能試験を再開 8日に臨界、試験順調 13年度から本格運転めざす

日本原子力研究開発機構は6日午前、高速増殖原型炉「もんじゅ」の性能試験を再開、8日午前10時36分、臨界となった。95年12月8日にナトリウム漏えい事故で停止して以来、およそ14年半ぶり。

新たなスタートを切った「もんじゅ」は今後、発電設備を有する国内唯一の高速増殖炉プラントとして、性能試験、続く本格運転を通じ、高速増殖炉実用化に向けて、「発電プラントとしての信頼性の実証」と「ナトリウム取扱技術の確立」を目指していく。

「もんじゅ」試運転再開に際し、原子力安全・保安院による立入検査が3日から開始され、(1)不適合の処理状況(2)系統構成・安全機能等の確保状況(3)運転手順書・性能試験要領書の制定状況(4)運転員の確保状況(5)試運転再開に向けた管理体制――について、最終確認を行い、6日10時30分頃、制御棒の引き抜き操作に入り、8日に臨界となった。

原子力機構敦賀本部では、運転を開始した6日以降、日ごとに試験の実施状況を公表しており、12日現在、軽微な操作不手際による制御棒挿入の一時的中断・回復などはみられたものの、大過なく試験は進められている。

今後、7月下旬頃まで、極低出力での炉心確認試験を実施した後、40%出力確認試験、出力上昇試験の3段階で、約3年間にわたり試験を行うとともに、試験項目の節目ごとにホールドポイントを設け、評価結果を公表していく。性能試験は、商業炉でいう試運転に相当するが、「もんじゅ」が発電炉としてデビューし、本格運転に入るのは13年度初頭の予定だ。

「もんじゅ」の臨界到達を受け、原子力機構の岡ア俊雄理事長は、「安全確保を最優先に、実証炉や実用炉の実用炉の設計・建設・運転につなげる多くの貴重な成果をあげるよう全力で取り組む」との談話を発表した。

今回の運転再開は、去る2月の国による安全性評価終了後、原子力機構より、福井県他、地元自治体との安全協定に基づく協議を申し入れ、4月28日に了承を得ていた。了承に際し、西川一誠県知事は、県の専門家会合の検討結果もふまえ、「安全確保に万全の体制で」などと要望している。

〈川端文科相ら関係者コメント〉

川端達夫文科相は臨界達成を受け、「わが国の原子力政策の中で大きな一歩」と評価し、「重要な国家プロジェクトが再始動」などと感慨の意を込めた談話を発表した。

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電気事業連合会の森詳介会長は6日の運転再開を受け、「原子燃料サイクル確立に向けた前進」と評価した上で、今後の研究開発成果、運転実績の蓄積に期待をかける談話を発表した。

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原産協会の服部拓也理事長は6日、「長年の懸案だっただけに、誠に喜ばしい」とした上で、万全な安全確保と徹底した情報公開のもと、「将来のエネルギー源確保のための着実な取組に期待」などとするコメントを発表した。

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日本原子力学会は6日、「技術的社会的試練に対する関係者の真摯な取組の成果であり、近未来のエネルギー開発の実用化への第一歩」とした上で、原子力専門家の使命として、次世代エネルギー供給の柱として開発・利用していくべきなどとする見解を発表した。


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