NPT再検討会議 核保有国が共同声明 イランは米批判

核兵器を保有する米露英仏中の5か国は5日、ニューヨークで開催されていた核不拡散条約(NPT)再検討会議で共同声明を発表した。

米国のオバマ大統領が提唱する「核のない世界」の実現に向け、20項目の新たな取り組み決意を示したもので、イランと北朝鮮の非協力的な態度を名指しで非難。

一方、原子力の平和利用に関しては、あくまでも「すべての加盟国にとって不可分の権利だ」と強調しており、3月に仏国政府がパリで開催した新規導入国に対する協力会議での成果を歓迎。加盟国への核燃料供給を保証するため、3月に国際原子力機関(IAEA)とロシアが合意した国際濃縮ウランセンター構想のさらなる進展を促した。

同会議では3日にIAEAの天野事務局長も登壇し、「イランから必要な協力が得られないため、同国のすべての核物質が平和利用目的か否かを確認できない」と指摘。今後もイランに対しては、IAEAの包括的な保障措置協定、およびIAEA理事会と国連安保理による決議の完全な実施に向けて措置を講じるよう求めていくとしている。

一方、イランのM.アフマディネジャド大統領は一般演説で、核軍縮が進まない理由には、一部の国の軍縮政策やNPTの原理の不均衡さ、無効化が挙げられると主張。米国については特に、「核を実際に使用し、イランを含めた他国への威嚇に使っている」と非難した。

また、原子力発電による燃料コストの節約効果にも言及しており、同国の活動が平和利用目的であることを強力にアピール。5日に行われた記者会見では、「イランはIAEAとNPTの積極的なメンバーであり続ける」と述べるなど、加盟国としての権利を主張し、NPTの不均衡是正を働きかけるとともに、必要な核燃料を確保していく戦略だと見られている。

同会議は今月末の閉会時に、最終文書の採択をめざす。


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