トルコのアックユ原子力計画 露が建設・運転に協力

トルコ政府は12日、アックユ地方のメルシン近郊に計画している同国初の原子力発電所の建設・運転でロシアとの協力合意文書に調印した。

完成した発電所はひとまず、ロシアの100%出資で設立する企業の保有となり、徐々にトルコ企業およびその他の国を出資者として募集する方式。原子力発電インフラのない新規導入国であるトルコに合わせて全面的な支援を約束するものだが、これまでの方式と異なり、完成後も発電所の運転や運営管理までロシアが責任の一端を担うというやり方で、同国が今後も受注を拡大していくことが予想される。両国の合意文書は今後、双方の議会の承認を待って実施に移される計画だ。

今回の合意はロシアのD.メドベージェフ大統領のトルコ訪問に合わせて調印された17件の両国協力合意文書の1つ。ロシアの総合原子力企業であるロスアトム社の発表によると、ロシアは今後、出力120万kWのAES−2006シリーズのロシア型PWR(VVER)を4基、2016〜19年までにアックユで建設するが、総工費の200億ドルはすべてロシア側が負担する。

協力項目は設計・建設のみならず、インフラ整備や運転、発電電力の販売にまで及び、発電所の防護や保守、改修についてもロシアが支援。さらに、今後の協議次第ではトルコにおける核燃料生産施設の建設や廃棄物処理処分、廃止措置、燃料サイクル施設の設置と操業まで協力を拡大する可能性があるという。

ロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社が原子炉を完成させた後は、ロシアの100%出資で事業会社を設立し、同発電所を保有。建設費回収のためにトルコ企業と電力供給契約を結ぶほか、トルコおよびその他の国を出資者として募集し、ロシアの所有権を51%まで下げていくとしている。

過去の入札結果

トルコはこれまでに、アックユ発電所建設計画で4回の入札を実施し、それらの結果をすべてキャンセルしている。ロシアは2008年9月、トルコの地元企業と連合を組んで4回目の入札に提案書を提出。09年6月にトルコ内閣がロシアの提案による建設を承認したものの、完成原子炉からの電力購入交渉で両国は折り合わず、同年11月にトルコはこの入札結果もキャンセルした。

この際、ASE社は当初、1kWhあたり0.21ドルの固定買取り価格をトルコ当局に提示。その後これを0.1533ドルに引き下げているが、最終的にトルコ側が受入れ可能な価格を設定できなかったのは、ロシアの企業連合が発電所建設に対する融資リスクを全面的に負ったためとも言われている。

ロシア・エネルギー省のS.シュマトコ大臣によると、今回の合意では発電電力の70%まで、トルコ電力卸売公社(TETAS)が購入を保証するほか、一部の電力はその他のエネルギー市場にも出回ることになるとしている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで