米規制委 がんリスク調査報告を改訂へ

米原子力規制委員会(NRC)は今夏から、同国の科学アカデミー(NAS)に委託して原子力発電所の周辺地域住民のがんリスクに関する最先端の研究調査を実施する。

主な目的は1990年に国立衛生研究所と国立がん研究所(NCI)がとりまとめた「原子力施設近隣住民におけるがん」報告書のアップデート。NRCは原子力発電所の立地郡あるいは隣接郡でのがん死亡リスクについて一般市民と意見交換する際、NCI報告を一次資料として使用している。このため、科学技術や医薬品など幅広い分野の研究者を擁するNASの専門技術により、がん診断率の評価や、調査エリアを地理的に郡より小さく分割する方法の研究が進むことを期待している。

NASの研究プロセスは、@研究の定義づけA委員会の選出と承認B委員会の招集と情報収集・審議、報告書案の作成C報告書案のレビュー−−の4段階に大別されている。

90年版のNCI報告書では、原子力施設立地および隣接郡の死亡率記録から、1950年から84年まで90万人以上のがん死亡を研究し、16タイプのがんにおける死亡率の変化を評価。がんのタイプ別診断情報については、107の該当地域における住民のがん死亡リスクに増加傾向は認められなかったと結論付けている。


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