原産協会 人材育成で報告書まとめ 「中核的機関」設立提言

原産協会の原子力人材育成関係者協議会(座長=服部拓也・原産理事長)はこのほど、「ネットワーク化」、「ハブ化」、「国際化」を提言する報告書をとりまとめ、18日の原子力委員会会合で、報告した。

同協議会は、昨年4月の前回報告書を受け、学習指導要領改訂、原子力工学教育基盤の劣化、急速な国際化の進展など、昨今の状況をとらえ、検討を行ってきた。

報告書では、(1)理系、特に工学系への進学者を増やすための取組の強化(2)原子力の必要性、安全性などの正確な知識の教育、伝達(3)原子力の技術、研究、産業などの魅力、将来性を社会、特に若い世代に伝達し、学生の原子力への志向性を向上(4)原子力専門教育の体系再構築と充実強化(5)国際人材の養成(6)国際展開に対応する人材育成体制の整備(7)原子力分野の技術継承の仕組みの確立(8)人材育成活動の機能に応じたネットワーク化やその中心となりコーディネート、コントロールするハブ設立(9)我が国の原子力育成の体系化と可視化(10)原子力人材育成を戦略的に進めるための中核的恒常組織の設立――を提言として掲げている。

また、同協議会の「原子力人材育成に関する国際対応作業会」の報告書についても合わせて、説明がなされ、(1)国際性ある原子力人材育成の環境整備(2)我が国の国際プレゼンスの向上、日本人の海外展開、国際機関派遣(3)国際人材育成のためのネットワーク化(4)アジア諸国等に対する原子力人材育成――を提言した。

原子力委員会からは海外でのキャリアと日本国内のキャリアのマッチングや、奨学金・研究費助成などによる人材の確保について意見があった。

服部理事長は、今回の報告書とりまとめに際し、「日本の工学系教育は各分野では相当高いレベルの育成がなされているが、全体としてまとまりがない」などと指摘し、今年度から産官学が連携し、高等教育機関や研究機関などの原子力専門教育ネットワーク強化のための「中核的恒常機関」を作る計画だと強調した。


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