米エネルギー省、政府融資保証20億ドルを アレバの濃縮工場計画に

米エネルギー省(DOE)は20日、仏アレバ社がアイダホ州アイダホ・フォールズ近郊で進めている遠心分離法ウラン濃縮施設建設計画に対して、20億ドルの政府融資保証を提供すると発表した。原子力関連の融資保証適用は、2月のボーグル原子力発電所3、4号機建設計画に次いで2件目。燃料サイクル・フロントエンドに割り当てられた融資保証枠20億ドルについては、米国濃縮会社(USEC)が仏アレバ社とともに申請書を提出していたが、同社は昨年、DOEから申請の取下げを指示されており、明暗の分かれる結果となった。

アレバ社の計画は2008年5月に公表されたもので、アイダホ・フォールズの西約18マイルに、処理能力3300トンSWUの「イーグル・ロック・ウラン濃縮工場」を建設するというもの。昨年5月に仏国のトリカスタンで最初のカスケードが始動したジョルジュ・ベスIIウラン濃縮工場と同じく、ウレンコ社から移転されたガス遠心分離・濃縮技術を採用している。総工費は33億ドルで、08年9月にDOEの融資保証を申請したほか、同年末には米原子力規制委員会に建設・運転一括認可を申請。2011年に着工し、14年から操業開始予定だ。

一方、USECの米国遠心分離プラント(ACP)については昨年8月、DOEは「技術的にまだ商業規模に移行する準備ができていない」と指摘。融資保証の申請を取り下げ、規定要件を満たせるよう、さらに12〜18か月間の研究開発継続を指示していた。

DOEは原子力発電所の建設計画に対して合計185億ドル、ウラン濃縮施設建設に20億ドルの融資保証権限を持つが、今年2月にはボーグル発電所計画に対して初めて、83.3億ドルの提供を約束。同様の保証を検討していた残り3件を手当てするには、残額だけでは難しい状況だ。このため、DOEのチュー長官は4月28日の議会証言で、2011会計年度が始まる前に原子力関連枠で新たに90億ドルの融資保証を議会に提案すると述べたと伝えられている。また、今回の発表の中でDOEは、07会計年度に規定した融資保証資金から、ウラン濃縮に追加で20億ドルの提供が可能になったと明記。USECは今後の融資保証適用に希望的観測を抱いており、今年の夏にも、申請書を更新する計画だという。

なお、その他の融資保証適用候補としては、カルバートクリフス3号機、V.C.サマー2、3号機、サウステキサス・プロジェクト3、4号機建設計画、との見方が有力だ。


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