駐日カザフ大使が核不拡散で講演 「原子力、平和利用に真価」

A.カマルディノフ駐日カザフスタン特命全権大使は、ニューヨークで核不拡散条約(NPT)運用検討会議が開催中だった5月20日に東海大学を訪れ、「核不拡散・軍縮による世界平和へのカザフスタンの貢献」について講演した。

参加した同大の学生ら200余名を前に、核兵器を自らの意思で放棄した歴史的な事実を踏まえ、核兵器による滅亡への道と原子力平和利用のどちらを選ぶのか、しっかり考えてほしいと呼びかけた。

カザフでは旧ソ連時代に500回近い核実験が行われ、人口の1割近い150万のカザフ人や国土の4分の3が被害を受けるなど、日本と核による痛みを共有する。

1991年に独立した際、カザフには旧ソ連から受け継いだ核兵器(世界第4位の1150発)が残され、核保有国となった。しかし、「相互協力と信頼の醸成」を国の基本戦略に置くN.ナザルバエフ大統領はこれを廃棄した。それ以後は、米国と共同で核の脅威削減を推進。兵器用核分裂性物質生産禁止(カットオフ)条約にも参加する方針だ。

現在のNPTは非核兵器国にのみ制約が押し付けられている。新たな核兵器保有国の出現を防止できず、核兵器保有5か国間での核軍縮も進まないなど、存在意義は非常に低下しているが、少なくも、核兵器国による核軍縮の履行と、非核兵器国への平和利用の権利尊重は重要。カザフは世界における核軍縮提唱の動きや核開発疑惑国等の動静を踏まえ、昨年12月に「核兵器のない世界を求める決議」を、日本を含む26か国の共同提案として採択している。

NPTと国際原子力機関(IAEA)の保障措置協定および追加議定書に基づく透明性を満たせば、どの国にも原子力を平和利用する権利がある。この権利を全うするため、カザフはIAEAが提唱する国際核燃料バンク構想に賛成。昨年は、ウラン採掘量で世界第1位になっており、同バンクの設置国になる方針だ。

なお、日カ原子力協力協定は5月19日、参議院を通過・批准された。


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