経産省 中国電に行政処分 島根原子力保守管理不備で 山下社長 「安全意識の徹底」誓う

経済産業省は15日、中国電力島根原子力発電所で判明した保守管理不備を受け、原子炉等規制法に基づき、再発防止対策を明確化するよう、保安規定の変更命令を発出した。これにより、保安規定の変更が認可されるまでの間、同1、2号機は運転できないこととなる。これに先立ち11日、直嶋正行経産相は、同社・山下骼ミ長を東京・霞ヶ関の同省庁舎に呼び寄せ、同社に対し、大臣名文書による厳重注意処分を行うとともに、処分内容を通知した(=写真)。

今回の保守管理不備問題で、中国電力は3日、去る3月末から実施してきた点検実績調査の最終報告で、島根1、2号機の点検周期を超えている機器数が511か所、点検計画表と実際との不整合が1160か所あったとし、再発防止の検討を報告している。これに対し、原子力安全・保安院は、同社の事案を受けた対応は「適切なもの」と評価する一方、点検計画表の策定段階、実施段階、反映段階のそれぞれに問題があり、実態との乖離が生じ、保守管理体制と品質保証システムが十分に機能せず、法令に基づく発電所保安規定に反し、原子力に対する国民の信頼を損なうこととなったとしている。

具体的な措置としては、再発防止対策を確実なものとするため、@保守管理業務に係わる各組織の役割と責任の明確化A保守管理業務に係わる手順の文書化と位置付けの明確化B保全計画の継続的な見直しC業務運営の仕組みの強化D不適合管理に係わる組織の役割と責任の明確化ならびに不適合情報の収集・処理の強化E安全文化を醸成する活動の取組の強化――がなされるよう保安規定の変更を命じた。また、保守管理体制や品質保証システムの改善等の再発防止対策の実施・定着を確認するため当面、島根発電所に特別原子力施設監督官を派遣し、特別な保安検査を実施することとした。

山下社長は、今回の処分を受けて、再発防止に向け「安全意識の徹底」を図っていくとするとともに、「透明性を高める情報公開」を第一に、住民説明会を開催し、立地地域の信頼回復に努める意向を述べた。行政処分への対応については、「原点に返って取り組む」姿勢を示した。

中国電力は、07年に全国大で実施された発電設備総点検でも、島根発電所保安規定の変更処分を受けている。

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班目春樹・原子力安全委員長は14日、本事案に関する保安院からの説明を受け、「安全文化を維持していくことは、醸成すること以上に難しい」などとした上で、現場と経営層とのコミュニケーションの重要性も指摘する談話を発表した。


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