【原子力ワンポイント】 原子力発電の役割と今後の展開 @地球温暖化対策に原子力は役立つの?

原子力産業新聞では、いま世の中で話題になっている原子力や環境、エネルギーなどの課題について、また今後、重要になってくるであろう項目について、「分かりやすさ」を主眼にして説明する「原子力ワンポイント」コーナーを設けました。

初回は「原子力発電の役割と今後の展開」がテーマです。 

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―原子力発電は、地球温暖化防止に貢献してるって聞いたけど?

地球温暖化の原因は、温室効果ガスだと言われてるね。日本では、温室効果ガスのほとんど、9割以上が二酸化炭素なんだ。電気を作るのに石油や石炭を燃やせば二酸化炭素が発生する。代わりに、二酸化炭素を排出しない原子力発電を利用すれば、排出量を減らすことができるよ。原子力発電による排出量抑制効果は、日本全体で年間約1.7億トンにもなり、これは年間の全排出量の約14%に相当するんだ。

―新エネルギーと比べたらどうなの?

風力や太陽光などの新エネルギーも増えてきているね。それらと比べると、原子力発電のほうが、大規模でたくさんの電気を作ることができる。天気や時間に左右されず安定して発電できることもあって、同じ量の電気を作るのに必要な土地の広さで比べると、原子力はずっと少ない面積でできるんだ。

―省エネをがんばるという手もあるんじゃない?

もちろん省エネもできる限り進めていく必要がある。でも日本では、1970年代の石油危機以降、国をあげて省エネに取り組んできた結果、すでに世界で最もエネルギー効率のいい国になっている。さらに、省エネを進めていくには、国民や企業に相当な負担を生じることになるので、みんなの理解を得ながら進める必要があるね。省エネをどこまで進められるのかは、現時点では不透明だ。

世界では運転中の原子力発電所が400基以上あって、60基以上が建設中、さらに、いろいろな国で何十基も計画されていて、2050年までには何百基も建設されるとも予測されているよ。原子力ルネッサンスなんて言われてるね。一方、日本では、運転中が54基、建設中が2基あるほか、19年までに運転を開始しようと計画中の発電所が9基あるんだ。

2020年は日本が温室効果ガスの排出量削減を約束している年だね。これからできる原子力発電所はもちろん温暖化防止に新たに貢献することになるけれど、今ある発電所だって、設備利用率や出力を向上することで、温暖化防止にもっと貢献できるんだ。次回、説明しよう。


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